ヒト細胞コードや品質管理項目含む
京都大学iPS細胞研究所(CiRA)は7月13日、ヒト細胞種コードや品質管理項目などを含めた幹細胞データの項目ガイドライン「MIACARM」(Minimum Information About a Cellular Assay for Regenerative Medicine)を新たに提案したことを発表した。
画像はリリースより
この研究は、同研究所増殖分化機構研究部門の藤渕航教授らを中心とした国際研究グループによるもの。研究成果は、「Stem Cells Translational Medicine」に7月12日付けで掲載された。
これまで細胞の命名法に規格がなかったため、同名異種細胞や異名同種細胞が存在する状況であり、また区別できずにひとつの種類とされていた細胞から、新たに同定される細胞種もある。これまでの5~10倍程度の細胞種が同定され、それぞれ検証が必要となる可能性も指摘されているが、現在の細胞種の判定方法では似た細胞の判別が困難であり、細胞の普遍的な分類が必要だった。そこで国際研究グループは、胚葉、分化能、細胞発生時期、解剖学的位置、細胞種の5因子に基づくヒト細胞コードによる細胞種同定方法を開発し、細胞名の曖昧性を排除した。
事実上の標準ガイドラインに
細胞を使った研究のためにデザインされた細胞実験データガイドラインとしては、2008年に「MIACA」(Minimum Information About a Cellular Assay)が作られていたが、このガイドラインは培養細胞を使った研究が主な対象で、ヒトの体細胞や最新のシングルセル解析技術に対応したデザインではなかった。
MIACAでは「ヘッダー」「実験モジュール」「データ処理」の3つのモジュールで保存する情報を分類していたが、MIACARMではそれを「プロジェクト」「細胞源」「評価」「実験技術」「データ」の5つのモジュールに再編。さらにヒト細胞コードに関する基準、幹細胞の品質管理に関する基準をはじめ項目を追加し、257項目からなるMIACARMを開発した。
MIACARMは、日本のCiRAを中心として、独シャリテ医科大学や、米RUCDR Infinite Biologics、英UK Stem Cell Bankといった主要な幹細胞バンク関係者が参加して開発され、事実上の標準となると考えられている。このMIACARMを他の幹細胞バンクでも利用を促すことで、再生医療の実現化をさらに促進することが期待される、と国際研究グループは述べている。
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