自家造血幹細胞移植後の再発・進行リスク高いCD30陽性ホジキンリンパ腫に対して
武田薬品工業株式会社は7月7日、悪性リンパ腫治療剤「アドセトリス(R)」(一般名:ブレンツキシマブ ベドチン)について、欧州委員会(EC)より、現在条件付きで承認されている適応を拡大し、自家造血幹細胞移植後の再発・進行リスクの高いCD30陽性ホジキンリンパ腫の適応追加の承認を取得したことを発表した。これは、5月26日の欧州医薬品評価委員会(CHMP)からの承認推奨見解に沿ったもの。CHMPの承認により、今回の適応にてEU諸国の28か国、ノルウェー、リヒテンシュタイン、アイスランドで承認されることとなる。
リンパ系に由来するがんの総称であるリンパ腫は、ホジキンリンパ腫と非ホジキンリンパ腫の2つに大別される。ホジキンリンパ腫は、特徴的な類型の細胞であるReed-Sternberg細胞の存在によって他のリンパ腫と区別され、Reed-Sternberg細胞はCD30を発現している。
AETHERA試験は、ホジキンリンパ腫の再発予防のために自家造血幹細胞移植の効果を持続させることを目的に、ホジキンリンパ腫の患者を対象に、自家造血幹細胞移植後の地固め療法としてのアドセトリスの効果を検討した、アドセトリスの臨床開発プログラムにおいて最初に完了した無作為化臨床試験。
プラセボ群と比べて病勢進行を示さず生存期間が有意に延長
同試験では、自家造血幹細胞移植後の地固め療法としてアドセトリスを投与した群(最良支持療法との併用)において、プラセボを投与した群(最良支持療法との併用)に比較し病勢の進行を示さず生存期間が有意に延長したとの結果が得られ、これは無増悪生存期間を75%改善したことに相当するとの見解が、独立中央判定委員会によって示された(ハザード比:0.57、p=0.001)。無増悪生存期間は、すべの患者を対象に、投与開始から少なくとも2年以上にわたり評価された。3年間の追跡後に実施された最新の解析では、持続的な無増悪生存期間の改善が示された(ハザード比:0.58、95%信頼区間:0.41-0.81、独立判定機関による)。あらかじめ規定された全生存期間の中間解析では、両群間に統計学的な有意差は認められなかった。
すべての臨床試験を通じて10%以上の発現率の副反応としては、感染症、上気道感染、好中球減少、末梢神経障害(感覚神経および運動神経)、咳嗽、呼吸困難、下痢、吐き気、嘔吐、便秘、腹痛、脱毛、掻痒、筋肉痛、関節痛、倦怠感、悪寒、発熱、注射時反応および体重減少。同試験におけるアドセトリスの安全性プロファイルは、全般的に既存の添付文書の情報と差はなかったとしている。
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・武田薬品工業株式会社 ニュースリリース