厚労省は、地域医療構想の実現と地域包括ケアシステムの構築を喫緊の課題と位置づける中、国は在宅医療が生活の質向上に貢献するという具体的な効果を国民に対して必ずしも示せてこなかったこと、各地域で先駆的な医師等が牽引してきたため、全国的な連携が十分ではなく、治療効果に関する研究成果が体系的に積み重なっていないなどの課題を指摘。在宅医療の推進に向け、関係者が一体となって国民に普及啓発を図るため適切な情報発信が重要とし、エビデンスを積み重ねる必要があるとの考え方を示した。
在宅医療の成否のカギを握る提供体制を実効的に機能させていくためには、医療・介護・福祉の在宅医療提供者、研究機関、学会、行政、住民などの関係者が一堂に会して認識を共有することが必要と判断。全国的な会議を開き、関係者がとるべき具体策を議論していくことにした。
初会合では、在宅医療の推進に向け基本的な考え方として、在宅医療の推進に必要な協力体制を構築し、関係者が一体となって対策を展開すること、国民の理解を醸成するため在宅医療の普及啓発を図ること、エビデンスの蓄積を推進する方向性を共有。その上で、重点的に対応すべき分野を設定し、ワーキンググループで検討していくことを決めた。
委員からは「在宅医療を受けたくても、なかなかどんな時に利用できるのか、どのようなシステムなのか、利用する段階になるまで分からない。まず全国の実態調査をしてほしい」「一次医療のプライマリ・ケアの中に在宅医療を位置づけていくことが重要」「小児の在宅医療は高齢者と質が違う。看取りより成長、生活の向上という、小児、若年者の視点を盛り込んでほしい」などの意見が出た。
9月以降、在宅医療の推進に向けた重点分野を設定するためワーキンググループを立ち上げ、検討結果を来年3月の第2回会議で確認する予定。