尋常性乾癬患者の17%は中等症から重症
日本イーライリリー株式会社は7月4日、日本において製造販売承認申請をしていたヒト化抗ヒトIL-17Aモノクローナル抗体製剤「トルツ(R)皮下注 80mg オートインジェクター」および「トルツ(R)皮下注 80mg シリンジ」(一般名:イキセキズマブ(遺伝子組換え))について、厚生労働省より「既存治療で効果不十分な尋常性乾癬、関節症性乾癬、 膿疱性乾癬、乾癬性紅皮症」を適応として製造販売承認を取得したことを発表した。
乾癬のうち最もよく見られるのは「尋常性乾癬」で、銀白色の鱗屑をともなった境界明瞭な盛り上がった紅斑が現れる。尋常性乾癬の約17%が中等症から重症といわれている。
乾癬は、米国で750万人もの患者がいる最も一般的に見られる炎症性疾患で、全世界での患者数は1億2500万人、日本では43万人と推計。また、最近の報告では、日本の関節症性乾癬の患者数は6万人と推計されている。
国内初のオートインジェクター型注入器
今回承認を取得したトルツは、乾癬および関節症性乾癬の病態に深く関与している、サイトカインであるインターロイキン-17A(IL-17A)に特異的に結合し、IL-17受容体との相互作用を阻止するIgG4モノクローナル抗体(生物学的製剤)。その有効性および安全性は、これまで行われた世界21か国の3,800人以上の中等症から重症の尋常性乾癬患者を対象とした3つの大規模な国際共同第3相臨床試験(UNCOVER-1、UNCOVER-2、UNCOVER-3)、国内第3相臨床試験(UNCOVER-J)および活動性関節症性乾癬の患者を対象とした国際共同第3相臨床試験(SPIRIT-P1)において確認されている。米国では「Taltz(R)」の販売名で 2016 年3月22日に、成人の中等症から重症の尋常性乾癬を適応症として承認を取得した。
今回、トルツは2 種類のデバイスで提供され、従来のシリンジ型注入器と、乾癬治療薬として国内初のオートインジェクター型注入器から選択することが可能。オートインジェクター型注入器は、注射針と薬液があらかじめ取り付けられており、皮下へイキセキズマブ注射液を単回投与する際の安全性および簡便性を考慮した設計になっている。
日本イーライリリーはトルツに関して、鳥居薬品株式会社と日本の皮膚疾患領域における戦略的な販売提携契約を締結しており、医療従事者への情報提供活動は両社で行っていくとしている。
▼関連リンク
・日本イーライリリー株式会社 プレスリリース