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【製薬医学会年会】20製品22例の不適切事例-製薬企業の情報提供活動

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2016年07月06日 AM10:30

医療用医薬品の広告規制のあり方が問い直される中、2日に東京大学で開催された日本製薬医学会年会で、医療従事者が製薬企業の不適切な情報提供活動を報告する「広告監視モニター制度」のパイロットスタディの結果が発表された。約5カ月間で16社20製品22例の不適切な情報提供事例があり、依然として問題と思われるプロモーション活動が行われている実態が明らかになった。日本大学の白神誠教授が発表を行った。

製薬企業の広告規制をめぐっては、」「」をめぐる一連のコンプライアンス違反を受け、2014年度に「医療用医薬品の広告のあり方の見直しに関する提言」が取りまとめられ、今年度から厚生労働省で製薬企業に対する広告監視モニター事業が実施される。それに先立ち、白神氏らが広告監視モニター制度のあり方を検討するため、パイロットスタディを行い、製薬各社の情報提供活動の実態を探った。

調査では、約5カ月間にわたって、5人の大学病院薬剤師にモニターを依頼し、薬剤師業務の中で問題と思われる企業の情報提供活動を報告してもらった。対象とすべき薬剤、報告基準などは特に制限を設けず、MRからの情報提供活動、講演会、企業のホームページでの製品情報サイト、学会のランチョンセミナーなどでモニターが気がついたことを、月に1度意見交換を行い、情報を収集した。

報告を受けたのは16社が販売する20製品22事例。全てが新製品の薬剤だった。16社の内訳は、内資系11社、外資系5社となっており、そのうち1社が3事例、4社が2事例と一つの製薬企業から複数の不適切な事例が報告された。

最も多かったのが、院内の製品説明会で12件報告された。続いて、MRの情報提供活動が7件、企業主催の学術講演会が2件。事例の内容に関しては「有効性にかかわるもの」が9件、「安全性にかかわるもの」が3件、「適応外の行動にかかわるもの」が2件となった。

具体的な事例としては、医局での製品説明会で、オピニオンリーダーのコメントを紹介し、掲載された少数例の症例報告に基づき、承認を有していない適応に対する効果を示唆するとも取れるような製品説明を行っていた。

企業主催の学術講演会の事例では、著名な専門家が、副作用調査で比較を行うことが適切でないデータを並べて、同効薬のうち特定薬剤の副作用が多いとする講演が行われていた。さらにその要因として、演者自身も不適切であることを承知しているはずの論理を用いて考察していた。

MRの説明事例では、自社品との非劣性の試験しか行われていないにもかかわらず、他の同効薬とも比較したかのような「既存の同効薬に比べて」という表現でMRが説明を行っていた。また、MRに製品説明を依頼した際に、聞いてもいないのに社外秘と書かれた研修用資料を用いて、適応外の効能を示唆するとも取れるデータを紹介していた。

そのほか、C型肝炎治療薬「」で服薬指導サポートツールと称して、本来禁止されている患者と直接連絡を取る道を確保しようとする事例も見られた。

白神氏は、「プロモーション用資材には改善が見られているが、クローズドな環境下ではまだまだ不適切な情報提供が続いている。モニター制度ではこれらの処分は難しく、不適切な情報提供を行うことがプロモーションを行う上で不利になるとの環境を醸成していく必要がある」と語った。

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