RA-BEYOND試験、バリシチニブ臨床試験完了の2,600人以上登録
米国のイーライリリー・アンド・カンパニーとインサイト・コーポレーションは6月9日、主要な長期継続投与試験RA-BEYONDの試験結果が、ロンドンで開催された欧州リウマチ学会議(EULAR2016)において示されたと発表した。試験結果によると、関節リウマチ患者のレントゲン上の関節損傷の進行抑制において、「バリシチニブ」がプラセボに対して優越性を示したとしている。
バリシチニブは、1日1回経口投与の選択的JAK1およびJAK2阻害剤。リリーとインサイトは2009年12月、炎症性および自己免疫性疾患の治療のために、バリシチニブおよび特定の後続化合物の開発・製品化について、世界規模の独占的なライセンスおよび共同研究に合意した。同剤については、2016年第1四半期に米国、欧州連合、日本の規制当局に対して関節リウマチを適応とした販売承認申請が行われ、現在、アトピー性皮膚炎および全身性エリテマトーデスを対象とした第2相臨床試験が進行している。
進行中のRA-BEYOND試験には、今回の評価時点において、RA-BUILD試験を含む先行するバリシチニブの臨床試験を完了した2,600人以上の患者がすでに登録。RA-BUILD試験には、少なくとも1剤の従来型抗リウマチ薬(cDMARD)に対して効果不十分もしくは同剤に対する忍容性がなく、生物学的製剤未使用の関節リウマチ患者684人が登録された。
LOCF法、4mgのみが24週時と48週時で有意な関節損傷の進行抑制
RA-BUILD試験を完了しRA-BEYOND試験に移行した患者はRA-BUILD試験終了時と同用量のバリシチニブ投与を継続して受け、RA-BUILD試験終了時にプラセボ投与を受けていた患者はRA-BEYOND試験において4mgのバリシチニブ投与に切り替わった。
構造的関節損傷は、X線で示される患者の手足の骨びらんと関節裂隙狭小化を定量化する関節X線スコアリングで評価。治療の変更と欠測値には、直線外挿(LE)法と欠測値を欠測前の値で補完するLOCF(Last Observation carried forward)法という2つの異なる統計学的手法を用いたとしている。その結果、LE法では、バリシチニブの2つの用量で24週時と48週時においてプラセボと比較したところ、統計学的に有意な構造的関節損傷の進行率の低下を示した。LOCF法を用いると、4mgのみが24週時と48週時において統計学的に有意な関節損傷の進行抑制を示したとしている。
RA-BUILD試験において、治療下で発現した有害事象と重篤な有害事象の発現率は、バリシチニブ群とプラセボ群とで同等。また、有害事象による治療の中止または中断もバリシチニブ群とプラセボ群とで同等だったとしている。
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