米国と欧州で実施中の第2相試験の中間解析結果に基づき
協和発酵キリン株式会社は6月28日、現在開発中の抗線維芽細胞増殖因子23(FGF23)完全ヒト抗体(KRN23)が、米国食品医薬品局(FDA)により1歳以上の小児X染色体遺伝性低リン血症(XLH)に対するBreakthrough Therapy(画期的治療薬)に指定されたことを発表した。
XLHは、X染色体上のPHEX遺伝子の異常により血中の FGF23濃度が過剰になった結果、体内のリンが尿中に過剰に排泄され低リン血症となり、その結果として骨の成長・維持に障害をきたしたり、QOLの低下を生じたりする希少な疾患。FGF23は、主として骨組織で産生される251アミノ酸からなるポリペプチドであり、腎臓に作用し、腎尿細管でのリンの再吸収を阻害する。近年、低リン血症性くる病、腫瘍性骨軟化症、腎不全などの疾患におけるFGF23の関与が示俊されている。
今回のBreakthrough Therapyの指定は、現在米国および欧州で実施中の小児XLHを対象とした第2相試験において、当初組み入れられた36例の試験開始40週目に得られた中間解析結果に基づき行われたもの。Breakthrough Therapyの指定制度は、重篤もしくは致命的な疾患の治療のため、新薬の開発および審査を促進することを目的としており、指定を受けるには、臨床試験の予備的結果において、重要な評価項目について既存の治療を超える本質的な改善が示されることが必要となる。
2016年中頃、小児XLH対象の第3相臨床試験を開始予定
指定を受けると、効率的に開発プログラムを進めるためのFDAガイダンスが適用されるとともに、審査には経験豊富なFDAの審査担当が直接携わるなどの優遇策が図られる。このことにより、重篤な疾患への治療法の有用性が確認された際には、速やかに承認が得られ、臨床での使用が可能になる。
KRN23の開発、販売に関して、同社はウルトラジェニクス・ファーマスーティカルと協業およびライセンス契約を締結しており、現在実施中の第2相試験に加え、小児XLHを対象としたKRN23の第3相臨床試験を両社協業で2016年中頃に開始する予定。なお、成人XLHを対象とした第3相臨床試験は、昨年12月より開始している。
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・協和発酵キリン株式会社 ニュースリリース