埼玉、東京、福岡が初参加、宮城と大阪が復帰で
国立がん研究センターは6月29日、国がん・がん対策情報センターを中心とする厚生労働科学研究費補助金「都道府県がん登録データの全国集計と既存がん統計の資料の活用によるがん及びがん診療動向把握の研究」研究班が、「地域がん登録」データを活用し、2012年に新たにがんと診断された罹患数・率として算出した全国推計値を、冊子に編集・公表したと発表した。
画像はリリースより
地域がん登録は、都道府県のがん対策を目的に1950年代より一部の県で開始。研究班が各地域がん登録からデータを収集する活動を開始して以降、年々参加都道府県が増加し、2010年は30県、2011年は40県となり、そして今回初めて47全都道府県の登録データが揃った。とりわけ、埼玉、東京、福岡が初参加し、宮城と大阪が復帰したことで、都市部のがん罹患が明らかになるとともに、全都道府県での比較が可能となった。精度基準においても全都道府県で国内精度基準を満たし、28県では国際精度基準も達成したしている。
がん罹患の増減、地域差観察できる統計値整う
集計の結果、2012年の1年間にがんと診断された症例の全国推計値は、男50万3,970例、女36万1,268例で、合計86万5,238例(前年比1.4万例増)。人口10万対の年齢調整罹患率は、男447.8、女305.0で、男女計365.6(前年比0.2減)。全国推計値は、国際精度基準を達成した全都道府県のデータを用い、人口ベースで日本全体のがん罹患推計を算出したもの。2003年より開始し、今回で10回目の集計となる。
部位別に罹患数を見ると、男性は胃、大腸、肺、前立腺、肝の順、女性は乳房、大腸、胃、肺、子宮の順に多かった。また、都道府県間比較の結果、前年同様、胃、肝、肺などで、罹患リスクの高い地域の偏りを確認するとともに、同程度の罹患率でも死亡率が高い地域、低い地域があることがわかったとしている。
また、今回、全都道府県のデータが揃ったことから、この全国推計値と合わせて実測値による単純合計値も算出したところ、大きな差はなかった。この結果はがん登録の精度がほぼ安定し、届出に協力する病院の増加によるみかけの症例数増加が一段落したと解しており、ようやく真のがんの罹患の増減、地域差を観察できる統計値が整備できたと、研究班は述べている。
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・国立がん研究センター プレスリリース