実臨床の治療実態評価する長期的臨床研究の必要性
MSD株式会社は6月28日、このほど単剤で経口血糖降下薬の服用を開始する未治療の成人2型糖尿病患者の薬物治療の内容およびその臨床経過を観察する研究「RESPOND」を開始したことを発表した。
近年、日本の2型糖尿病治療においては経口血糖降下薬の服用者数が増加。それに加え、新規薬剤クラスの導入や併用療法の多様化に伴い治療計画も複雑化している。また、薬物治療に加えて食事療法や運動療法などのセルフケア行動も重視されるようになり、QOLや治療満足度、長期的な臨床経過に与える影響を考慮した治療計画の必要性が高まっている。
こうしたなか、治療開始後のQOL、治療満足度、セルフケア行動の実行度の変化に関する基礎データが不足しており、経口血糖降下薬で治療している2型糖尿病患者の実臨床における治療実態を評価する長期的な臨床研究が必要とされている。
糖尿病専門医、一般内科医から1,500症例のデータ収集目標
RESPONDは、2型糖尿病と診断され、単剤で経口血糖降下薬の服用を開始する未治療の成人患者を対象に、全国の約200施設に属する糖尿病専門医および一般内科医から1,500症例のデータ収集を目標に実施する企業主導型長期観察研究。
観察期間は24か月で、観察開始時点と、開始から6か月目、12か月目、18か月目、24か月目に記録を行う。ベースライン時に選択された経口血糖降下薬を特定せず、すべての対象患者において、そのプロファイル(バイタルサイン(血圧、体重)、臨床検査値(HbA1c、血清脂質)など)、経口血糖降下薬の処方変更の履歴、および患者自身による各種評価(QOL評価、治療満足度評価、セルフケア行動評価)を記録し、それぞれベースラインからの変化や推移、目標達成率を観察するとしている。
これによって、これまで不明確であった薬物治療開始時の薬剤クラス選択とQOL、治療満足度およびセルフケア行動の実行度との関連性を明らかにすることで、2型糖尿病治療を考えるうえでの基礎データが得られるものと、同社は考えている。
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