治療歴ないPD-L1高発現の非小細胞肺がん患者対象として
Merck & Co., Inc., Kenilworth, N.J., U.S.A.は6月16日、抗PD-1抗体「KEYTRUDA(R)」(一般名:ペムブロリズマブ)について、治療歴のないPD-L1高発現(腫瘍の50%以上に発現)の非小細胞肺がん患者を対象とするKEYNOTE-024試験で、主要評価項目を達成したことを発表した。
KEYTRUDAは、免疫系ががん細胞を見つけて攻撃するのを助けるヒト化モノクローナル抗体。PD-1とそのリガンドであるPD-L1およびPD-L2との相互作用を阻害してTリンパ球を活性化し、がん細胞を攻撃する。米国と欧州において進行性悪性黒色腫の適応で承認されており、米国では非小細胞肺がんに対しても承認を取得。国内では2015年12月22日に切除不能または転移性の悪性黒色腫を効能・効果として、2016年2月29日には切除不能な進行または再発の非小細胞肺がんを効能・効果として、抗PD-1抗体「ペムブロリズマブ(遺伝子組換え)」の承認申請を行った。
KEYNOTE-024試験は、進行性非小細胞肺がん患者に対する治療として、KEYTRUDAの単剤療法と、標準治療(SOC)のプラチナ併用化学療法を比較する無作為化第3相検証試験。進行性非小細胞肺がんに対する化学療法歴がなく、免疫組織染色を用いた中央測定によって腫瘍組織がPD-L1を高発現していると判断された患者を対象に実施された。
独立データモニタリング委員会、化学療法群へのKEYTRUDA治療を勧告
同試験では305人の患者を無作為にKEYTRUDA群(3週間ごとに200mgを投与)と、SOCプラチナ併用化学療法群(カルボプラチン+パクリタキセル、カルボプラチン+ペメトレキセド、シスプラチン+ペメトレキセド、カルボプラチン+ジェムシタビン、またはシスプラチン+ジェムシタビン)に割り付けた。非扁平上皮がん患者に対しては、ペメトレキセド維持療法も許容された。さらに、プラチナ併用化学療法群に割り付けられた患者は、選択肢として疾患進行した場合においてKEYTRUDAにクロスオーバーが可能だった。
その結果、主要評価項目である無増悪生存期間(PFS)と副次評価項目である全生存期間(OS)の両方で、化学療法に対して優越性を示した。これに基づき、独立データモニタリング委員会は、同試験の終了と、化学療法群として参加していた患者にKEYTRUDAによる治療を受ける機会を提供するよう勧告したとしている。
なお、同試験におけるKEYTRUDAの安全性プロファイルは、これまでに発表した進行性非小細胞肺がん患者を対象とした試験結果と一致しており、同試験結果は、今後の学会での発表が予定されている。
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