主要評価項目の血液学的完全寛解率達成
米国のファイザー社は6月12日、抗体薬物複合体(ADC)「イノツズマブ オゾガマイシン」の国際共同第3相試験であるINO-VATE ALL試験の結果が「ニューイングランド・ジャーナル・オブ・メディスン」誌のオンライン版に掲載されたことを発表した。血液学的完全寛解率と無増悪生存期間(PFS)を含むいくつかの評価項目において、イノツズマブ オゾガマイシン群の標準化学療法群を上回る改善が明らかになったとしている。
急性リンパ性白血病(ALL)については、2016年には米国で推定6,590人が診断され、約5人に2人は成人。ALLと新たに診断された成人患者のおよそ20~40%は、既存の治療レジメンによって治癒するが、再発または難治性の成人ALL患者の5年全生存率は10%以下とされている。
イノツズマブ オゾガマイシンは、ほぼすべてのB細胞性ALLのがん細胞に発現する細胞表面抗原であるCD22を標的とするモノクローナル抗体(mAb)および細胞傷害性化合物で構成。ファイザーとセルテック(現UCB)が協力して創製しており、ファイザーはこの化合物の製造および臨床開発活動のすべてを単独で担っている。2015年10月、FDAからALL治療薬としてブレークスルー・セラピー(画期的治療薬)に指定された。
再発または難治性のCD22陽性ALL成人患者に対して
INO-VATE ALL試験は、再発または難治性のCD22陽性ALL成人患者326例を対象に、イノツズマブ オゾガマイシンの安全性と有効性を標準化学療法と比較して評価する、第3相、非盲検、無作為化試験(1022試験)。
同試験では、独立した主要評価項目として、血球数の回復の有無を問わない血液学的完全寛解率とOSを設定。まず、血液学的完全寛解率を達成し、イノツズマブ オゾガマイシン群は、標準化学療法群と比較して有意に良好なデータを示した。(80.7% [95% CI, 72%-88%] vs. 29.4% [95% CI, 21%-39%]、P<0.001)。イノツズマブ オゾガマイシン群は、標準化学療法群と比較してPFSを有意に延長した(HR: 0.45 [97.5% CI, 0.34-0.61]、P<0.001、PFS中央値は各群5.0か月 vs. 1.8か月)。
OSについては、イノツズマブ オゾガマイシン群では、標準化学療法群と比較してOSを延長する明らかな傾向が認められたが、統計的な有意差は認められなかった(p < 0.0104)(HR: 0.77 [97.5% CI, 0.58-1.03]、片側P=0.0203、OS中央値7.7か月[95% CI, 6.0-9.2] vs. 6.7か月[95% CI, 4.9-8.3])。2年OS率は、イノツズマブ オゾガマイシン群では23%(95% CI, 16%-30%)、化学療法群では10%(95% CI, 5%-16%)だったとしている。
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・ファイザー株式会社 プレスリリース