外殻タンパク膜模倣したウイルス様粒子技術で
武田薬品工業株式会社は6月21日、同社が開発中で臨床試験段階にあるノロウイルスワクチン(TAK-214)の臨床第2相後期有効性フィールド試験を開始したと発表した。
TAK-214は、筋肉内注射ワクチンで、ノロウイルスの外殻タンパク膜を正確に模倣したタンパク質であるウイルス様粒子技術(VLPs)を用いている。GⅠ.1型、GII.4型の抗原を含んでおり、ヒトに感染して症状を引き起こす主な2つの遺伝子型に対応している。
同様の技術を用いて、子宮頸がんやB型肝炎に対するワクチンが、米国食品医薬品局、欧州医薬品庁や厚生労働省を含む規制当局から承認を得ており、同ワクチンの臨床第1相試験および第2相試験の結果では、同ワクチンの良好な忍容性が示されている。また、健康成人を対象とし、ノロウイルス曝露後の反応を評価したチャレンジ試験において、同ワクチンがノロウイルス感染症の症状および重症度を軽減することが認められているとしている。
健康成人対象の二重盲検無作為割付プラセボ対照試験
臨床第2相後期試験は、18歳から49歳までの健康成人男女を対象とした、二重盲検無作為割付プラセボ対照試験。ノロウイルスに起因する中等度から重度の急性胃腸炎に対する、ノロウイルスワクチンの予防効果を検討する。
世界中で流行している非細菌性急性感染性胃腸炎の約90%は、ノロウイルスが原因とされている。ノロウイルス関連疾患は世界中で年間約7億人に発症することからその疾病負荷は重大であり、主に低所得国においては、年間20万人以上がノロウイルス感染が原因で亡くなっていると推測されている。
現在、市販されているノロウイルスワクチンはない。同社はノロウイルスワクチン開発に加え、デング熱、ポリオおよび手足口病のワクチン開発に尽力しており、世界中の人々に影響を及ぼす重大な感染症に対して、積極的に取り組んでいく、と述べている。
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