子宮頸部前がん病変とHPV関連疾患、大幅に減少
Merck & Co., Inc., Kenilworth, N.J., U.S.A.は6月16日、4価HPVワクチン「ガーダシル(R)」の世界的なインパクトと有効性に関するシステマティック・レビューで、ガーダシル定期接種プログラム導入後、HPV6、11、16、18型に関連する感染症、尖圭コンジローマ、子宮頸部細胞診異常、子宮頸部前がん病変の大幅な減少が認められたと発表した。
この結果は、オーストリアで開催された欧州生殖器感染・腫瘍学会の口頭セッションで初めて公表された。このレビューを詳述した論文は、6月14日にClinical Infectious Diseases誌のオンライン版で掲載された。
ガーダシルの適応は、9~26歳の女性におけるHPV16および18型による子宮頸がん、外陰がん、腟がん、肛門がん、HPV6および11型による尖圭コンジローマ、HPV6、11、16、18型による前がん病変および異形成の予防。9~26歳の男性を対象とするHPV16、18型による肛門がん、HPV6、11、16、18型による肛門部の異形成および前がん病変、HPV6、11型による尖圭コンジローマの予防の適応も承認されている。酵母に対する重篤なアレルギー反応のある人や、同ワクチン接種後に激しいアレルギー反応のあった人など、過敏症のある人には禁忌となっている。
過去10年間の研究58編で
このレビューは、実臨床におけるガーダシルの使用がHPV関連疾患に与えたインパクトを評価するために事前に設定した基準を満たした、2007年1月から2016年2月までに発表された58編の研究を対象としている。これらの研究は、HPVワクチン接種率の異なる9か国(オーストラリア、デンマーク、スウェーデン、ベルギー、ドイツ、フランス、米国、カナダ、ニュージーランド)でさまざまな対象年齢、研究手法や疾患エンドポイントを用いて実施された。
レビューによると、ガーダシル接種プログラムの導入後、最も早く効果が示されたのは尖圭コンジローマの減少だった。今回のレビューでは全9か国、文献28編で認められ、オーストラリアとドイツではワクチン導入後わずか1年で減少が認められた。HPV6、11、16、18型の感染についても、5か国(オーストラリア、ベルギー、ドイツ、スウェーデン、米国)の14編の文献で、その減少が早い段階で認められており、オーストラリアと米国の複数の研究では、HPV6、11、16、18型の感染の減少が4年以内に見られた。その後、これらの出生コホートが子宮頸がん検診を受けるようになり、オーストラリア、カナダ、デンマーク、スウェーデン、米国では接種プログラム導入から3~5年以内に子宮頸部前がん病変の減少が観察されたとしている。
同社は、子宮頸がん予防には、検診とともにHPVワクチン接種が重要な役割を果たすとして、引き続き、日本女性の健康と公衆衛生の向上に貢献できるよう努めていきたいとしている。
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・MSD株式会社 ニュースリリース