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食塩感受性の分子病態を解明—横浜市大

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2016年06月24日 PM01:30

食塩感受性高血圧症の発症、isoformが中核的役割

横浜市立大学は6月20日、同大学学術院医学群循環器内科学の峯岸慎太郎助教、石上友章准教授らの研究グループが、高血圧症の原因となる、食塩感受性の分子病態を解明したと発表した。食塩摂取で引き起こされる食塩感受性高血圧症の発症において腎臓尿細管に局在するユビキチン化酵素Nedd4-2(Nedd4L)のひとつのisoform(構造は異なるが機能を同じくするタンパク質)が中核的な役割を果たしていることが明らかになったとしている。


画像はリリースより

特に明らかな異常がないのに血圧が高くなる高血圧症である本態性高血圧症は、国内の成人の約4,000万人が罹患している。本態性高血圧症の治療は、血圧測定法の進歩や、降圧利尿剤をはじめとする効果的かつ安全な薬物の開発によって大きく前進しているが、その成因は不明だった。食塩感受性という病態が基盤にあると考えられているが、どのようにしてそれが起きるかも不明だった。

ENaC標的にした薬物治療に期待

これまでの研究から、Nedd4L遺伝子(ヒト、ラット)には分子多様性があり、N末端にC2ドメインを持つisoformは、尿細管特異的にENaCを制御している可能性が示唆されていた。そこで、研究グループは、このNedd4-2 C2遺伝子(マウス)のノックアウトマウスを作製し、高食塩食で飼育した。その結果、尿中ナトリウム排泄の障害、尿濃縮力の障害という尿細管機能の障害がみられ、さらに飲水量、尿量の増加が観察され、マウス頚動脈から留置した植え込み式血圧測定器による連続的・直接的な血圧値の測定により、食塩感受性に血圧が上昇することがわかった。

正常食塩食での飼育下では、ノックアウトマウス、野生型マウスともに、血圧や尿の変化は認められなかった。免疫組織学的な検討では、ENaCタンパクの発現は予想通りに亢進していたが、ENaCが特異的に発現している腎臓の部位のRNAを定量したところ、遺伝子型、食塩摂取量に応じて、ENaC遺伝子の発現が増加することと、ENaC特異的な阻害薬であるamilorideを投与することで、この発現が正常化することがわかった。これらから、食塩過剰摂取による食塩感受性の病態が、ENaC自身を介するナトリウムの再吸収によって、もたらされていることが明らかになったとしている。

今後は、これまでの高血圧治療と異なるアプローチである、ENaCというイオンチャネルを標的にした薬物治療が、こうした病態を解消することが期待されると、研究グループは述べている。

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