切除不能な進行・再発の非小細胞肺がんに対して
日本イーライリリー株式会社は、6月20日、抗悪性腫瘍剤「サイラムザ(R)点滴静注液100mg、同点滴静注液500mg」(一般名:ラムシルマブ[遺伝子組み換え] )について、「切除不能な進行・再発の非小細胞肺がん」に対する治療薬として適応追加の承認を取得したと発表した。
画像はリリースより
サイラムザは、血管新生阻害剤で、がんの増殖および転移に関わる血管新生において重要な働きを示す血管内皮細胞増殖因子受容体2(VEGFR-2)に対するヒト型モノクローナル抗体。VEGFR-2に特異的に結合することにより、VEGFR-2のリガンドであるVEGF-A、VEGF-C、およびVEGF-Dの結合に競合し、VEGFR-2の活性化を阻害する。
同剤は、2015年3月に治癒切除不能な進行・再発の胃がんで、今年5月に治癒切除不能な進行・再発の結腸・直腸がんの治療薬として、日本で承認されている。また、切除不能な進行・再発の非小細胞肺がんの治療薬としては、2014年12月に米国で最初に承認、今年1月には欧州でも承認されている。
組織型にかかわらず、全生存期間延長
今回の追加承認取得は、海外多施設共同、プラセボ対照、二重盲検、無作為化、第3相試験(REVEL試験)と、国内多施設共同、プラセボ対照、二重盲検、無作為化第2相試験(JVCG試験)の結果に基づいている。
REVEL試験では、プラチナ製剤を含む化学療法を施行中または施行後に増悪した進行・再発非小細胞肺がん患者を対象として、プラセボ+ドセタキセルと、ラムシルマブ+ドセタキセルを比較。非扁平上皮型(73%)及び扁平上皮型(26%)の非小細胞肺がん患者を6大陸26か国で1,253例組み入れ、無作為に各治療群に振り分けた。有効性の主要評価項目は全生存期間で、副次的評価項目は無増悪生存期間と奏効率など。この試験は、進行・再発非小細胞肺がんの2次治療において化学療法と併用する生物学的製剤の効果を示した初めての第3相試験であり、組織型にかかわらず、全生存期間を化学療法単独よりも改善することを明らかにした。
JVCG試験は、進行・再発の非小細胞肺がんに対するプラチナ製剤を含む1次化学療法(維持療法の有無は問わず)施行中または施行後に進行した4期非小細胞肺がん患者を対象として、プラセボ+ドセタキセルと、ラムシルマブ+ドセタキセルを比較し、日本人のみで実施。有効性の主要評価項目は無増悪生存期間で、副次的評価項目は全生存期間、奏効率など。結果は、REVEL試験と同様の傾向だったとしている。
▼関連リンク
・日本イーライリリー株式会社 プレスリリース