■木平新会長を選任
日本病院薬剤師会は18日、通常総会を開き、2月の臨時総会で次期会長候補者に選出されていた木平健治副会長を新会長に選任した。木平新会長は、総会終了後の会見で、地域医療への取り組みの重要性を強調。2025年をメドに構築される地域包括ケアシステムの中で、病院薬剤師としてどう活躍できるかについて、早急に検討したい考えを示した。また、「他団体との関係構築も進め、病院薬剤師の存在を訴えていきたい」とし、日本薬剤師会だけでなく、複数の病院関係団体などとも緊密に連携していく方向性も示した。
木平氏は、これからの病院薬剤師を考える上で、地域医療が重要なテーマになると指摘。キーワードとして、地域包括ケアシステムや地域包括ケア病棟、療養病棟などを挙げ、「この辺りで薬剤師がどう活躍できるかについて、川上純一副会長を中心に考えたい」とし、病院薬剤師が地域の中で「力を発揮でき、それに対する評価も得られるようなシステムを構築したい」との考えを示した。
また、この日の通常総会で新たに副会長に選任された、土屋文人、松原和夫、賀勢泰子(新任)、川上純一(新任)、林昌洋(新任)の5氏について、「強力な体制が組めていると思っている。互いに力を合わせていけば、様々な局面が打開できる。それぞれの得意分野で力を発揮してもらいたい」と語った。
18年度には、診療報酬と介護報酬の同時改定が控えていることを踏まえ、「相当、本腰を入れていろいろなデータをとっていく必要がある」と強調。「副会長、理事と心を一つにして病院薬剤師の将来が明るくなるよう頑張りたい」と抱負を述べた。
■総合臨床薬剤師養成など多数の都道府県が賛成
総会では、東京都の代議員から、昨年12月に将来計画委員会から提案のあった、▽総合臨床薬剤師(ホスピタリストの薬剤師)の養成▽各地区ブロック学術大会の全国版となる日病薬学術大会の創設▽日病薬の英語名称▽地域完結型医療への対応を総合的に検討する特別委員会の設置――の4項目について、取り組み状況の説明を求める声が上がった。
担当の松原副会長は、4項目の提案に対して、各都道府県の病院薬剤師会に考えを聞いたところ、36の都道府県から回答が得られたことを明らかにした。
その上で、総合臨床薬剤師の養成について、「これまでの入院完結型から、地域完結型の医療に変革し、医療提供体制が変わっていく中で、全人医療を目指した人材育成を行うもの」と説明。36都道府県のうち、「賛同する」が29で、「検討した方がよいという意見が圧倒的に多かった」とした。
日病薬学術大会の創設は、2年に1回の診療報酬改定後に全国で行っている説明会などと併せて、学術大会と日病薬の各種委員会をまとめて開催することによって、「より能動的に日病薬の活動を推進していくもの」とし、「医療薬学会年会や薬学会などの学会を想定しているわけではなく、あくまでも病院薬剤師としての業務の推進と診療報酬への対応がメインになる」と説明。この提案に対しては、29の都道府県が賛同した。
日病薬の英語名称は、これまでの「Japanese Society of Hospital Pharmacists」から「Japanese Society of Health-System Pharmacists」に変更する案についての賛同は5にとどまった。
地域完結型医療への対応を総合的に検討する特別委員会の設置に対しては、賛同が33に上った。
木平氏は、特別委員会の設置について、会員の多くが「今後の病院薬剤師と地域の関わりが、どうあるべきかを真剣に考えていることの証」とし、現在、地域医療に対応するための特別委員会の設置を検討していることを明らかにした。
また、総合臨床薬剤師について、「専門性を高めることも重要だが、医療現場では常にジェネラリストの側面も求められている」と述べ、「養成していく方向で考えたい」とした。