バイファは、製造工場の廃液から遺伝子組み換え生物のピキア酵母を検出するようになった11年10月以降も「メドウェイ注」の製造を続け、13年7月にはピキア酵母が管理区域外で検出されたことを確認。漏出を認識していたが、検出量がごく微量で、手順通りの不活化工程が行われていたことから、微生物の数を最小限にとどめる措置が取れており、法律に抵触していないと判断し、厚労省への報告を行っていなかった。
しかし、その後も完全には不活化ができず、ピキア酵母を検出限界以下に抑えることができなかったことから、今年2月4日に厚労省に漏出を報告した。なお、「メドウェイ注」は現在、市場に流通していない。
同社は、ピキア酵母を含む廃液は大部分が排水処理工程で不活化され、死滅したとして、人体や環境などへの影響はなく、製造工場外へ漏れ出る可能性も低いと報告。ピキア酵母を含んだ廃液の漏出原因については、加熱による不活化処理を行う釜の一部で滅菌が十分に行われず、微量のピキア酵母が生存していたためとしている。
遺伝子組み換え生物の取り扱いはカルタヘナ法で規定されており、厚労省は、遺伝子組み換え生物の拡散防止を目的とする報告義務を定めた同法15条に抵触すると判断。人体や生物、環境への影響がないことや、規定に沿った不活化処理を行っていたことを考慮した上で、再発防止の措置を徹底するようバイファに厳重注意を行った。
バイファは、組み換え体が存在するリスクがある排水の全てを加熱処理する不活化処理装置の導入や定められた作業区域の拡散防止措置に関する構造設計の見直しを継続すること、排水や廃棄に関する手順の見直しや整備を実施することなど、法令遵守に関する相談、連携体制を強化するための体制構築といった再発防止策を打ち出した。
今回の事態について、バイファは、「工場近隣の住民をはじめとした皆様にご迷惑をおかけしたことを深くお詫びする。真摯に反省し、再発防止を徹底して信頼回復に努めたい」と謝罪のコメントを発表した。
厚労省は10年と13年に、バイファが「メドウェイ注」の製造に関する承認申請データを改ざんし、薬事法(現薬機法)に違反したとして、業務停止および業務改善命令を出している。