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神経障害性疼痛薬として期待されるP2X4受容体アンタゴニストの第1相臨床試験を開始-AMED

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2016年06月21日 PM01:30

九州大学と日本ケミファが創薬研究中

日本医療研究開発機構(AMED)は6月17日、九州大学と日本ケミファ株式会社が、神経障害性疼痛に対する新規治療薬としてAMEDによる支援のもと共同開発を進めているP2X4受容体アンタゴニスト(NC-2600)について、今月から国内における第1相試験を開始したと発表した。


画像はリリースより

神経障害性疼痛は、さまざまな原因によって起こる神経の損傷や機能異常によって生じる痛み。神経損傷の原因となる疾患が治っても痛みだけが慢性的に持続する難治性の疼痛で、神経の損傷部位により末梢性神経障害性疼痛と中枢性神経障害性疼痛に分類される。また、神経障害性疼痛は、病態や発症機序が複雑で多様なため、(非ステロイド性抗炎症薬)などの鎮痛薬の効果がほとんど期待できないことが知られている。

神経障害性疼痛を有する患者においては、現状では治療薬の選択肢が少なく、新たな治療薬の開発が求められている。今回開発したP2X4受容体アンタゴニストは、神経細胞を支え、栄養を与えるグリア細胞を世界で初めてターゲットにした疼痛治療薬他の薬剤。末梢性の神経障害性疼痛に加え、中枢性の神経障害性疼痛にも効果が期待される。

経口投与で有効性が期待できる開発候補化合物を2015年に発見

九州大学の井上副学長の研究グループは2003年、神経障害性疼痛モデル動物を用いて中枢神経系においてP2X4受容体の異常な発現増加を確認するとともに、同受容体の働きにより神経が異常に興奮し、通常痛みを感じない刺激でも痛みを引き起こすことを明らかにした。また、同受容体の選択的アンタゴニストの投与により強い疼痛抑制効果を確認したことから、この作用機序が新たな神経障害性疼痛の治療薬につながる可能性を見出していた。

その後、日本ケミファとの共同研究により、2015年に経口投与で有効性が期待できる開発候補化合物を発見。先ごろ非臨床試験を順調に終了したことを受け、この度、)に治験計画を提出し、第1相試験を開始したという。

なお、同研究は2009年度に科学技術振興機構(JST)の「A-STEPシーズ育成タイプ:課題名「P2X4受容体アンタゴニストの神経因性疼痛治療薬としての創薬研究」(研究者:井上 和秀、企業:日本ケミファ(株))」として採択され、2012年度にステージゲート評価によって「A-STEP実用化挑戦タイプ(創薬開発)」課題に移行。2015年度からAMEDに移管され、継続的な公的支援を受けながら開発を進められている。

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