タイムスタディ調査は、薬剤師数などに偏りが生じないよう調査対象薬局を選定し、薬局の特徴や地域の違いを配慮した上で愛知県、東京都、兵庫県、富山県など全国の10薬局を対象に実施した。院外処方箋の受付やお薬手帳の確認、ジェネリック薬の希望確認、薬袋の準備や記入、薬歴確認、処方箋監査、医師への疑義照会、計数調剤や計量調剤、監査、薬剤交付、服薬指導までの一連の調剤業務に薬剤師が費やした時間を調べた。
調査日1日における院外処方箋1枚の調剤に要した薬剤師の業務時間は、神奈川県座間市のA薬局(薬剤師3人、事務職員1人)では平均9分50秒、愛知県尾張市のB薬局(同4人、2人)では平均14分34秒などとなっていた。
10薬局のうち9分台は1薬局、10分台は3薬局、12分台は4薬局、13分台は1薬局、14分台は1薬局だった。
研究班は報告書で、この結果は「1薬局40枚で1薬剤師が必要としている現状に概ね合致している」と言及。「ただし、12分を超える場合には8時間を超えてしまうこと、さらに今後、対人業務にシフトする中で、1処方箋あたりの時間が増えるのか減るのか、さらに薬剤師の業務の見直し等の中で、引き続き検討すべき」としている。
研究班はこのほか、調剤業務だけでなく、管理業務を含めた薬局における業務全体のタイムスタディ調査も実施した。薬局・薬剤師の1日の業務量のうち医療用医薬品の調剤業務が最も多く、6割前後を占める薬局が多かった。一方、面分業の薬局や処方箋集中率の低い薬局では、在宅業務やその他の業務の割合が増え、調剤業務は4割前後となっていた。
昨秋厚生労働省が公表した「患者のための薬局ビジョン」では、患者が医薬分業のメリットを実感できる対人業務へのシフトを図ることが強調されたほか、「薬局におけるタイムスタディ調査を実施し、調剤技術の進展、機械化の状況など、最新の状況に応じた薬剤師業務の実態を把握する」ことが示された。今回の調査はその提言を受けて実施されたもの。
研究班は「今後の薬局・薬剤師の適正業務を把握するためには、対人業務や残薬対応等での業務量の増加の割合と、これまでの調剤業務で減少できる業務について明確に把握できるよう、継続的なタイムスタディ調査等の実施が必要」としている。