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金属アレルギー、金属ナノ粒子引き金に発症-阪大

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2016年06月16日 AM06:00

世界初、マウス実験モデル確立に成功

大阪大学は6月10日、金属アレルギーのマウス実験モデルの確立に世界で初めて成功したと発表した。この研究は、同大大学院薬学研究科の平井敏郎博士後期課程3年生(研究当時)らの研究グループによるもの。研究成果は、英科学雑誌「Nature Nanotechnology」電子版に、5月30日付けで掲載されている。


画像はリリースより

金属アレルギーは、歯科領域や装身具の利用でみられる身近なアレルギー疾患のひとつで、アレルギー性の接触過敏性皮膚炎を主な症状とする。身に着けたネックレスなどの金属から、汗などによって金属イオンが溶けだし、その金属イオンに曝露することで、直接的もしくは生体内分子と結合し、病態が発症するものと考えられてきたが、金属イオンを単にマウスに投与しても、金属アレルギーは発症せず、発症の原因が、単なる金属イオンの曝露ではないことも示唆されるなど、いまだ原因は不明。

このような背景のもと、近年、金属から溶け出した金属イオンの再結晶化により、金属ナノ粒子が自然発生することが明らかになっていた。そこで研究グループは、金属アレルギーの原因金属であるニッケルや銀から構成される金属ナノ粒子を用い、金属ナノ粒子が金属アレルギー発症に及ぼす影響を評価した。

予防・治療法や、安全な金属ナノ粒子の開発に期待

研究グループは、あらかじめ金属ナノ粒子あるいは金属イオンを投与したマウスに、再度同じ金属ナノ粒子あるいは金属イオンを投与し、それぞれに対する炎症応答の悪化を指標として、金属ナノ粒子と金属イオンの金属アレルギー誘導能を比較検討した。その結果、金属イオンではなく、金属ナノ粒子を前投与したマウスでのみ、、金属イオンのいずれによる耳の腫れも有意に増強。従って、金属ナノ粒子の前投与により、金属に対するアレルギー応答が増強されることが明らかとなったとしている。

金属アレルギーを含むアレルギー性の接触皮膚炎は、一般に、T細胞などの免疫細胞の関わる獲得免疫応答によって誘導されることから、研究グループは、種々の免疫細胞を抗体で欠損させた場合のアレルギー応答を評価。その結果、CD4+T細胞を除去した場合にのみ、金属ナノ粒子の前投与による耳の腫れが減弱したことから、金属ナノ粒子の前投与はCD4+T細胞依存的な獲得免疫応答を誘導することがわかった。

さらに、金属ナノ粒子を前投与したマウスの脾細胞を摘出後、培養した脾細胞に対し金属ナノ粒子および金属イオンで刺激したところ、いずれにおいてもIL-17Aが産生された。そこで、IL-17Aに対する中和抗体を投与したところ、金属ナノ粒子によるアレルギー応答が減弱したことから、金属ナノ粒子により誘導されるアレルギー応答は、Th17性の免疫応答であることが明らかとなったとしている。

今回の実験モデルは金属アレルギーの発症メカニズムの解明や、予防・治療法の開発のみならず、安全な金属ナノ粒子の開発にも貢献し得る成果と、研究グループは述べている。

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