第76回米国糖尿病学会議で発表
フランス・サノフィは6月12日、現在開発中のインスリン グラルギン(基礎インスリン)とリキシセナチドの用量調節が可能な配合剤を検討した主要第3試験である「LixiLan-O試験」と「LixiLan-L試験」の結果を、米国ルイジアナ州ニューオリンズで開催中の第76回米国糖尿病学会議(ADA 2016)で発表した。主要な結果については2015年第3四半期に発表されている。
LixiLan-O試験では、メトホルミン単独療法、またはメトホルミンと経口糖尿病薬1剤の併用でコントロール不十分な2型糖尿病患者1,170例を対象として、インスリン グラルギン100単位/mLとリキシセナチドの用量調節が可能な配合剤を1日1回30週間投与する場合の有効性と安全性を、リキシセナチドのみまたはインスリン グラルギン100単位/mLのみ投与する場合と比較した。試験期間中、メトホルミンの投与は全患者で継続し、メトホルミン以外の経口糖尿病薬は中止した。
第30週時点のベースライン(8.1%)からのHbA1cの低下度は、配合剤群-1.6%、インスリン グラルギン100単位/mL群-1.3%、リキシセナチド群-0.9%と配合剤群で有意に大きく(p<0.0001)、第30週時点の実測値はそれぞれ6.5%、6.8%および7.3%だった。HbA1cが7%未満まで低下した患者の割合は、配合剤群74%、インスリン グラルギン100単位/mL群59%、リキシセナチド群33%と配合剤群で高い結果が得られた。平均体重は、インスリン グラルギン100単位/mL群では1.1kgの増加、配合剤群は0.3kgの減少(インスリン グラルギン100単位/mL群との群間差は1.4kg,p<0.0001)、リキシセナチド群は2.3kgの減少だったという。
米国食品医薬品局と欧州医薬品庁が審査中
LixiLan-L試験では、基礎インスリン単独または基礎インスリンと経口糖尿病薬1~2剤の併用でコントロール不十分な2型糖尿病患者736例を対象として、インスリン グラルギン100単位/mLとリキシセナチドの用量調節が可能な配合剤を1日1回30週間投与する場合の有効性と安全性をインスリン グラルギン100単位/mLのみ投与する場合と比較。試験開始時にメトホルミンを用いていた患者は、試験中もメトホルミンの投与を続行し、他の経口糖尿病薬は中止した。
第30週時点のベースライン(8.1%)からのHbA1cの低下度は、配合剤群-1.1%、インスリン グラルギン100単位/mL群-0.6%と配合剤群で有意に大きく(p<0.0001)、第30週時点の実測値はそれぞれ6.9%および7.5%。HbA1cが7%未満まで低下した患者の割合は、配合剤群55%、インスリン グラルギン100単位/mL群30%と配合剤群で高い結果が得られた(p<0.0001)。平均体重は、インスリン グラルギン100単位/mL群では0.7kg増加したのに対し、配合剤群は0.7kg減少したという(群間差は1.4kg,p<0.0001)。
同剤は、米国食品医薬品局(FDA)と欧州医薬品庁(EMA)による審査中。審査結果は、FDA からは2016年8月、EMAからは2017年第1四半期に得られる見込みとしている。
持効型インスリン製剤「ランタス(R)」(一般名:インスリン グラルギン(遺伝子組換え))は、インスリン療法が適応となる糖尿病患者の血糖コントロールに用いられる。一方、「リキスミア(R)」(一般名:リキシセナチド)は、2型糖尿病の治療に用いられるGLP-1(グルカゴン様ペプチド-1)受容体作動薬。GLP-1は、体内で生成されるペプチドホルモンで、食事を始めて数分以内に放出される。GLP-1は、膵臓α細胞からのグルカゴン分泌を抑制し、膵臓β細胞からの血糖値に依存するインスリン分泌を促進することが知られている。
▼関連リンク
・サノフィ株式会社 プレスリリース