■大半は改善傾向も
厚生労働省は10日、2015年度の「医薬品販売制度実態把握調査」(覆面調査)結果を公表した。要指導医薬品、第1類医薬品の大半の項目で遵守状況の改善傾向が見られたが、要指導薬、第1類薬の情報提供時に、文書を渡すだけで詳細な説明を行わなかった薬局・店舗の割合が増えており、販売ルールが遵守されていないことが分かった。
調査は、薬局・薬店が店舗やインターネットで一般薬が適正に販売されているかどうかを把握するため、調査員が消費者を装って実施しているもの。今回は、全国5005の薬局・店舗、516のインターネット販売サイトを対象とした。
要指導薬販売の際、購入者へ情報提供を行っていたのは83.3%だった。また、使用者の状況を確認する必要があるが、遵守していた薬局・店舗販売業は91.8%を占めた。要指導薬は、薬剤師のみが販売できることになっているが、96.9%が遵守していた。大半の項目で9割程度が販売ルールを遵守していた。
要指導薬、第1類薬ともに、文書を用いて情報提供する必要があり、遵守率はそれぞれ79.5%、73.6%だったが、文書を渡したものの詳細な説明を行わなかったのは、要指導薬で4.0%(前年度0.6%)、第1類薬で4.3%(0.8%)で、遵守が不十分だった。
インターネット販売に関する調査では、第1類薬の販売時に年齢や症状、他の医薬品の使用状況などの確認を行ったサイトは89.6%(87.6%)だった。
ただ、電子メールで情報提供を行っていたのは71.4%(53.2%)で、「情報提供なし」が28.6%(46.8%)と、いずれも前年より改善しているものの、販売ルールの遵守が徹底されていない状況が浮き彫りとなった。
購入者に対して薬剤師がメールで情報提供していたのは82.0%(90.9%)で、18.0%が情報提供者が不明という結果だった。
第1類薬に関する相談に対して、「適切な回答があった」のは98.8%(95.3%)だった。なお、▽子供に飲ませても大丈夫か▽この薬を飲むと眠くなるか▽他の薬を飲んでいるが一緒に飲んでも大丈夫か――などの質問をし、それに対する対応として注意事項(添付文書に記載されている事項)等が回答された場合を「適切」と判定した。