世界初のヒト化抗フラクタルカインモノクローナル抗体
エーザイ株式会社は6月13日、抗フラクタルカインモノクローナル抗体「E6011」について、クローン病および関節リウマチを対象とした2つの臨床第1/2相試験(101試験、103試験)の中間解析において、良好な安全性と忍容性ならびに臨床活性を示唆する結果を取得したと発表した。
E6011は、エーザイグループのカン研究所が創製した、世界初のヒト化抗フラクタルカインモノクローナル抗体。フラクタルカインは、関節リウマチや炎症性腸疾患をはじめとする炎症性疾患の血管内皮細胞に発現し、フラクタルカイン受容体(CX3CR1)を発現する免疫細胞に結合することで炎症反応を惹起する。同剤は、CX3CR1を発現する免疫細胞の遊走・浸潤抑制による抗炎症作用が期待される新規メカニズムの抗体医薬。
重点開発品目として早期開発目指す
101試験は、既存治療(腫瘍壊死因子阻害剤を含む)の有効性が不十分な日本人のクローン病患者21人を対象とした、E6011の安全性と忍容性を確認する多施設共同、非盲検試験。有害事象の発現率は71.4%であり、発現した主な有害事象(2例以上に発現したもの)は鼻咽頭炎、頭痛、悪心及び肛門膿瘍だったとしている。臨床活性については、クローン病の症状の程度をはかる指標のひとつであるCDAI(Crohn’s Disease Activity Index)が220以上の患者18人において、2mg/kg投与群では5例中1例、5mg/kg投与群では7例中2例、10mg/kg投与群では6例中4例について、CDAIが70以上改善。10mg/kg投与群では、6例中3例において臨床的寛解(CDAIが150未満)が観察された。この結果は、2016年5月の米国消化器病週間で発表された。
103試験は、メトトレキサート(MTX)またはTNF阻害剤の有効性が不十分な日本人の活動性関節リウマチ患者27人を対象とした、E6011の安全性と忍容性を確認する多施設共同、非盲検試験。有害事象の発現率は59.3%であり、発現した主な有害事象(2例以上に発現したもの)は、鼻咽頭炎、頭痛及び口腔咽頭痛。臨床活性について、投与後12週のACR20反応率は100mg投与群では75.0%、200mg投与群では80.0%だった。同様にACR50反応率は100mg投与群では33.3%、200mg投与群では26.7%で、ACR70反応率は100mg投与群では8.3%、200mg投与群では20.0%となっている。この結果は、2015年11月の米国リウマチ学会議と、2016年4月の日本リウマチ学会総会・学術集会、同年6月の欧州リウマチ学会議で発表された。
今後もE6011を重点開発品目として早期開発に取り組んでいくと、同社は述べている。
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・エーザイ株式会社 ニュースリリース