Avastinと他の分子標的治療薬の併用療法として初めて
スイスのロシュ社は6月10日、上皮増殖因子受容体(EGFR)遺伝子変異陽性の切除不能な進行、転移性または再発非扁平上皮非小細胞肺がん(NSCLC)の成人患者の一次治療におけるAvastin(一般名:bevacizumab)とTarceva(一般名:erlotinib)の併用療法について、欧州委員会が承認したことを発表した。今回の承認は、Avastinと他の分子標的治療薬の併用療法として初めてのものとなる。
主要な第2相臨床試験であるJO25567試験は、EGFR遺伝子変異陽性の進行非扁平上皮NSCLCを対象として、AvastinとTarcevaの併用療法とTarcevaの単独療法について、安全性と有効性を評価した。
その結果、AvastinとTarcevaの併用療法を受けた患者では、Tarcevaの単独療法を受けた患者と比較して、病勢進行または死亡の相対リスクを統計学的有意に46%減少させた(無増悪生存期間(PFS)中央値:16.0か月対9.7か月、ハザード比0.54、p=0.0015)。
AvastinとTarcevaは、腫瘍の成長と増殖に重要なドライバーである経路を標的としており、両剤の併用療法の有用性は、他の臨床試験の成績によっても支持されている。
Avastin、国内で腎細胞がん対象の第3相国際共同治験に参加
毎年、欧州では約2万3,000人がEGFR遺伝子変異陽性のNSCLCと診断され、これは毎日60人以上が診断されることに相当する。NSCLCは肺がんのうち最も一般的なタイプであり、欧州および世界中でがん関連死の原因の第1位となっている。
日本においてAvastinは販売名「アバスチン(R)点滴静注用100mg/4mL、同400mg/16mL」として「治癒切除不能な進行・再発の結腸・直腸がん」、「扁平上皮がんを除く切除不能な進行・再発の非小細胞肺がん」、「手術不能又は再発乳がん」、「悪性神経膠腫」、「卵巣がん」および「進行又は再発の子宮頸がん」の効能・効果で承認を取得している。また、現在「腎細胞がん」を対象とした第3相国際共同治験に参加している。
Tarcevaは販売名「タルセバ(R)錠25mg、同100mg、同150mg」として、「切除不能な再発・進行性で、がん化学療法施行後に増悪した非小細胞肺がん」、「EGFR遺伝子変異陽性の切除不能な再発・進行性で、がん化学療法未治療の非小細胞肺がん」、「治癒切除不能な膵がん」の効能・効果を取得済み。なお、タルセバ錠150mgは、「治癒切除不能な膵癌」での使用は承認されていない。
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