市場拡大再算定は、基準年間販売額の2倍以上、150億円以上の薬剤が対象となる。今年4月の薬価改定では、年間販売額が1000億円を超えて、当初予測より1.5倍以上拡大した品目の薬価を引き下げる特例市場拡大再算定が導入された。通常の市場拡大再算定対象品目も20成分44品目と過去最も多い適用品目数となった。
薬価研では、市場拡大再算定品目が過去に比べ、増大した要因を分析するため、新規収載から市場拡大再算定適用までの年数について、収載時の算定方式別に調査を行った。
16年度改定で原価計算方式で算定された品目は6成分。新規収載品から市場拡大再算定適用までの平均値が5.8年、中央値が5.6年となり、12年度、14年度改定と比べても、ほぼ変わらなかった。一方、類似薬効比較方式で算定された7成分については、06年以降に実施された過去6回の改定で見ると、1品目のみの算定となった14年度改定を除き、市場拡大再算定適用までの年数で短縮傾向が見られ、平均値で約3~7年、中央値で約2~8年短縮していた。
こうした結果から、類似薬効比較方式で算定された7成分に関して、効能追加の状況を調査した結果、全てで効能追加を行っていた。新規収載から初回効能追加までの年数が平均値2.5年と、複数の成分が算定された過去の改定年度に比べ、1年半から5年の短縮が見られた。
薬価研では、収載から効能追加までの年数短縮が、収載から再算定適用までの期間短縮となった要因の一つと分析し、特例拡大再算定のみならず、通常の市場拡大再算定のあり方に関しても検討を求めている。原価計算方式での算定品目に対してはルール適用に一定の理解を示しつつも、類似薬効比較方式での市場拡大再算定については、「大きな変化がないにもかかわらず、一定規模売れたから下げるというやり方には、反対している」とする。薬剤の使用実態が著しく変化する中で、抜本的な見直しを含めた検討を求めている。