厚生労働省は7日、化学及血清療法研究所(化血研)が製造するワクチンや血液製剤などについて、現時点では「不足しない」との見込みを示した。インフルエンザHAワクチンについても、現時点で昨シーズンの必要量を上回り確保できるとした。化血研が同日、熊本地震による被害で製造停止していた製品の製造復旧計画を公表したことを受けたもの。既に化血研は、インフルエンザHAワクチンの製造については今月上旬から再開し、その他のワクチンや血液製剤などの製品についても今月中旬から9月下旬にかけて製造を再開する見通しを示した。
化血研によると、インフルエンザHAワクチン「インフルエンザHAワクチン『化血研』」と「ニューカッスル・IB混合生ワクチン『カケツケン』」などの動物用製剤8品目については、今月上旬に製造を再開した。「インフルエンザHAワクチン『化血研』」については、被災後の一定期間、ワクチン原液の生産を停止したことから、例年よりも減産し、9月下旬をメドに供給を始める見通し。動物用製剤8品目については、一部を除き供給も再開している。
また、その他の製品については、沈降精製百日せきジフテリア破傷風不活化ポリオ(セービン株)混合ワクチンなどワクチン製剤8品目、抗癌剤のペントスタチン注射剤、乾燥スルホ化人免疫グロブリンなど血漿分画製剤14品目、動物用製剤33品目の製造を今月中旬から9月下旬にかけて再開する。
一方、組み換え沈降B型肝炎ワクチン(酵母由来)「ビームゲン注0.25mL」「同注0.5mL」については製造再開時期を未定としているが、厚労省は国内で製造する他のメーカー2社が増産することで、10月からB型肝炎ワクチンが定期接種化された場合でも対応可能な供給量を確保できるとの見通しを示した。
化血研をめぐっては、国の承認と異なる方法で40年以上にわたって血漿分画製剤を製造し、組織ぐるみの隠ぺいを行っていた問題を受け、厚労省が1月8日に過去最長となる110日間の業務停止命令を出したが、業務停止中の4月に発生した熊本地震で被災し、配管等の製造設備が被害を受けたことにより、業務停止命令解除後も製品の製造がストップした。そのため化血研は、復旧に向けた具体策を今月上旬に公表する考えを示していた。