国内患者数500~1,000人と推定される再発性多発軟骨炎
京都大学は6月3日、再発性多発軟骨炎(RP)に関連する3つのHLA遺伝子型を同定することに成功したと発表した。この研究は、同大学学際融合教育研究推進センターの寺尾知可史特定助教(現ハーバード大学博士研究員)および医学部附属病院免疫・膠原病内科の吉藤元助教を中心とする共同研究グループによるもの。同成果は、オックスフォード大学出版の学術誌 「Rheumatology」に5月30日付けで掲載された。
画像はリリースより
耳、鼻、気管などの軟骨に炎症を来たすRPは、世界的にも症例数が少ない疾患であり、日本には500~1,000人の患者がいると推定されている。リウマチ性疾患との合併例も知られていたが、その遺伝的背景は未解明な点が多かったという。1993年にドイツ人患者41人を集めた研究では、ヒト白血球の血液型であるHLA-DR4という遺伝子型が関わっているという報告があったが、以後23年間、確認されていなかった。
3つの遺伝子型を同定、リウマチ性疾患とは異なる遺伝的背景か
今回研究グループは、聖マリアンナ医科大学やRPの患者会「HORP」と協力し、RPに関するものとしてはこれまでで最大規模となる102人のRP患者のDNAを集積・解析。HLAの遺伝子型を健常人1,000人と比較した。その結果、「HLA-DQB1*05:02」「HLA-DRB1*16:02」「HLA-B*67:01」という3つの遺伝子型とRPが関連していることが判明。さらに、3つの遺伝子型はお互いにある程度連鎖しており、1つの遺伝子型を持つと別の2つの遺伝子型も持ちやすく、3つともに持つと最もリスクが高くなるという関係にあることが考えられるという。
さらに、これまでRPとの合併が報告されてきた他のリウマチ性疾患等において、最も強く関連するHLA遺伝子型の関連結果を今回の解析データで確認。しかし、RPとの関連は認められず、RPが他のリウマチ性疾患とは異なる遺伝的背景を持つことが示唆されたとしている。
今回見つかったHLA遺伝子型のタンパクによる影響を詳しく解析することで、RPの原因物質が見つかる可能性もある。研究グループは、今後さらに検体数を増やし、他のHLA遺伝子型や、HLA以外の関連遺伝子を見つけるように研究を続ける予定としている。
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・京都大学 研究成果