日本医科大学病院薬剤部の輪湖哲也氏は、同院の緩和ケアチームへの依頼理由の6割が疼痛であること、薬剤師による外来介入率は昨年度で57.9%だったことを紹介。その上で、外来癌患者への疼痛治療における薬剤師の役割として、緩和ケア科へのコンサルト検討やスタッフミーティングでの前投薬や支持療法の提案などを示した。処方提案件数は、昨年度で253件、そのうち疼痛緩和関連が17件だった。
輪湖氏は、実際に薬剤師が処方提案を行った介入事例を示した上で、まだ介入できていない患者が多数存在すること、疼痛以外の問題への介入が不十分な可能性を指摘。「外来治療中のオピオイド鎮痛薬使用患者への薬剤師による積極的な介入は重要」と述べ、今後も進めていくことが大事と訴えた。
市立伊丹病院薬剤部の千原里美氏は、10年前から医療用麻薬の初回導入時に外来で服薬指導を行ってきたとし、診療報酬は算定できないものの、病棟常駐化により薬剤師全員が実施している現状を紹介。外来麻薬導入プロトコルを作成し、チームで対応していることを示した。
薬剤師が麻薬導入時の説明や痛みの初期評価、レスキュー薬の増量提案を行ったり、患者が入院後は病棟薬剤師と連携してフォローするなどの活動を報告した。
千原氏は「外来患者の疼痛コントロールについてフォローできていない」と課題を挙げつつ、緩和薬物療法認定薬剤師による診察前面談により、疼痛評価に基づいた処方提案ができ、外来診療の一助になる可能性があるとした。
山形県立中央病院薬剤部の石山ふみ氏は、都道府県がん診療連携拠点病院の新要件をきっかけに、医療用麻薬の初回導入説明に取り組んでいることを説明。ただ、オピオイド鎮痛薬の服薬指導については、診療報酬の算定対象となっていないことから、「薬剤師個人の努力とモチベーションで成り立っている」と指摘。「診療報酬が付けば、病院側も予算と人員を充実させ力を注ぐようになる」との考えを述べた。