ATS2016年国際会議で有効性および安全性に関するデータを発表
英国のグラクソ・スミスクライン(GSK)と米国のInnoviva, Inc.は5月18日、米国胸部学会(ATS)2016年国際会議で発表された、チオトロピウム単剤療法で症状が残る中等症の慢性閉塞性肺疾患(COPD)患者での「アノーロ(R)エリプタ(R)」(一般名:ウメクリジニウム/ビランテロール、「UMEC/VI」)の有効性および安全性に関するデータから得られた結果を発表した。
同剤は、長時間作動性抗コリン薬(LAMA)/長時間作動性β2刺激薬(LABA)の配合剤。試験(DB2116960)は、チオトロピウムを投与しても症状が残る中等症のCOPD患者494人を対象に、UMEC/VI62.5/25μgの1日1回投与をチオトロピウム18μgの1日1回投与と比較することを目的とした、12週間にわたる多施設共同無作為化盲検試験だ。
試験に参加した患者は、スクリーニング前の少なくとも3か月間、チオトロピウム18μgを1日1回投与し、無作為割り付け前に4週間の非盲検のチオトロピウム導入期間を設けられた。患者は、スクリーニング時および無作為割り付け時に「症状を有している」( Medical Research Council [mMRC]スコアが1以上で、気管支拡張薬吸入後の1秒間努力呼気量[FEV1]が予測値の50~70%)ことが条件とされ、エリプタ吸入器を用いて投与するUMEC/VI 62.5/25μgの1日1回投与群か、ハンディヘラー(R)吸入器を用いて投与するチオトロピウム18μgの1日1回投与群に1:1で無作為割り付けされた。
主要評価項目・副次的評価項目で統計学的に有意な改善を示す
その結果、チオトロピウム18μgの投与からUMEC/VI62.5/25μgの投与に切り替えた患者では、チオトロピウム18μgでの治療を継続した患者と比較し、主要評価項目(トラフFEV1)である呼吸機能が投与12週目に88mL(P<0.001; 95% CI 45, 131)改善しており、統計学的に有意な改善であることが示されたとしている。
また、副次的評価項目である投与後3時間のFEV1では、チオトロピウム18μgでの治療を継続した患者と比較して、UMEC/VI 62.5μgの投与に切り替えた患者で投与12週目に73mL(P=0.004; 95% CI 24, 122)改善しており、統計学的に有意な改善であることも示されたという。
Inoviva, Inc.のChief Scientific OfficerであるTed Witek氏は、今回の試験結果について、「2種類の作用機序をもつ薬剤の使用が、症状のあるCOPD患者の呼吸機能の改善を促進することを示すエビデンスが新たに加わった」と述べている。
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・グラクソ・スミスクライン株式会社 プレスリリース