濾胞性リンパ腫患者、年間75,000人超
スイスのロシュ社は5月27日、未治療の濾胞性リンパ腫の患者を対象とした主要な第3相臨床試験であるGALLIUM試験において、Gazyva/Gazyvaro(一般名:obinutuzumab)の良好な成績が得られたことを発表した。
濾胞性リンパ腫は、最も一般的な低悪性度非ホジキンリンパ腫(iNHL)。NHL患者の5人に1人の割合で発現しており、難治性で再発率が高いのが特徴。現在、濾胞性リンパ腫と診断される患者は、世界中で年間7万5,000人を超えると推定されている。
Gazyva/Gazyvaroは、幹細胞や形質細胞ではなくB細胞上に発現するタンパク質であるCD20に結合するように設計された、改変型モノクローナル抗体。標的となるB細胞を直接かつ体内の免疫系とともに攻撃して破壊するよう設計されている。同剤は、未治療のCLL患者に対するchlorambucilとの併用療法として、70か国を超える国々で既に承認。これに続き、濾胞性リンパ腫の患者でMabThera/Rituxan含有レジメンで奏効しない患者や、MabThera/Rituxanによる治療後に再発した患者に対し、Gazyvaとbendamustineの併用後にGazyvaの単独投与を続ける治療法が、米国食品医薬品局より最近承認された。また、その承認時の試験結果を基に、米国以外の世界各国の規制当局でも承認申請が進められている。なお、Gazyvaは、EUおよびスイスではGazyvaroとして販売されている。
MabThera/Rituxan投与群と比べ、無増悪生存期間延長
今回結果が発表されたGALLIUM試験は、多国籍オープンラベル多施設共同ランダム化二群間比較第3相臨床試験として実施。同試験では、Gazyva/Gazyvaroと化学療法(CHOP、CVP、bendamustineのいずれか)の併用後にGazyva/Gazyvaroを単独投与した群と、MabThera/Rituxan(rituximab)と化学療法の併用後にMabThera/Rituxanを単剤投与した群との直接比較により、有効性および安全性を評価した。
事前に計画した中間解析の結果、Gazyva/Gazyvaro投与群は、MabThera/Rituxan投与群と比較して、統計学的に有意な無増悪生存期間(PFS)の延長が認められた。また、同試験で発現した有害事象は、Gazyva/GazyvaroまたはMabThera/Rituxanと各種の化学療法を併用したこれまでの臨床試験の結果と一致していた。今後、GALLIUM試験の成績を医学会で発表するとともに、承認取得に向けて申請を行うことを予定している。
なお、国内では、低悪性度非ホジキンリンパ腫および中高悪性度非ホジキンリンパ腫を対象とした2つの第3相国際共同治験に参加している。また、日本新薬株式会社と共同開発を行っている。
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