警告表示の面積拡大は喫煙者47%、成人72%賛成
国立がん研究センターは5月30日、がん対策情報センターたばこ政策支援部が実施したたばこ製品パッケージでの警告表示(注意文言)に関する意識調査の結果を公表した。これは、5月31日の世界禁煙デーおよび禁煙週間(5月31日~6月6日)に合わせて行ったもの。
画像はリリースより
調査は、4月9日~14日に、成人2,000人(喫煙者1,000人、過去喫煙者500人、非喫煙者500人)を対象に行った。その結果を見ると、喫煙者にとって表示を認識し、表示内容を読む効果が大きいのは「画像つきの警告表示」で、例えば「肺がん」の警告表示に関しては、喫煙者の58%が画像つきを1位に選択した。警告表示の面積割合を大きくすることに関しては、喫煙者の47%、成人全体の72%が賛成。大きな字でシンプルな文言にすることは、喫煙者の56%、成人全体の75%が賛成だった。
警告表示に画像を入れることについては、喫煙者の半数近く、成人全体の70%が賛成。反対は喫煙者でも20%と少なかった。個別の画像には不快・不適切と思うものがあっても、警告表示に画像を入れることには賛成という人が多かった。
画像つきの警告表示77か国で採用
厚生労働省がん対策推進協議会が2015年6月にまとめた「がん対策推進基本計画中間報告書」では、「がんによる死亡者の減少」数値目標(75歳未満の年齢調整死亡率の20%減少)の達成が困難であり、その大きな要因のひとつとして「喫煙率半減」の水準に到達していないことが指摘されている。「がん対策加速化プラン」(2015年12月)では、「たばこの規制に関する世界保健機関枠組条約(FCTC)や海外のたばこ対策の状況を踏まえつつ、必要な対策を検討する」と記載されており、がん対策の推進を図るうえで、喫煙率を減少させるための取り組みは急務だ。
日本では、喫煙は「たばこ事業法」において、健康への影響・リスクを踏まえ個々の成人が決めるべきものとされている。警告表示の重要性は、世界保健機関(WHO)により繰り返し強調されているが、同法第39条及び同法施行規則第36条での規定により、たばこパッケージの30%(面積)に8種類の注意文言が記載されるにとどまり、プレーン・パッケージ(たばこの味や香りの印象を与えるデザインや色、ブランドのロゴ・マークを排除し、色や文字フォントが統一されたパッケージ)や画像による警告表示の導入には至っていない。
このような状況を受け、財務省の財政制度等審議会たばこ事業等分科会表示等部会は今年2月から、「製造たばこの消費と健康との関係に関して注意を促すための文言」を検討している。なお、画像を活用した警告は、先進国を中心に77か国で採用さている。
▼関連リンク
・国立がん研究センター プレスリリース