世界15か国対象に調査、医師と患者を比較
米国のファイザー社は5月17日、関節リウマチ(RA)に関する世界的なアンケート調査の第2段階の結果を発表した。この調査は、医師と患者のコミュニケーションと関節リウマチの全般的な治療計画との関係を評価したもの。医師と患者にコミュニケーションギャップが存在することが判明したとしている。
同調査は、関節リウマチの管理において患者が果たす役割の重要性を高めることを目指す国際的なイニシアチブ「RA NarRAtive」によって行われた。このRA NarRAtiveイニシアチブはファイザー社が資本提供をしており、17か国の医療専門家および患者支援団体リーダー39人から構成される世界的なアドバイザリーパネルによって指揮されている。
RA NarRAtiveは2015年、患者と医師を対象に、この種で初のアンケート調査を開始。最初に患者の視点を調べたところ、関節リウマチとその治療に対する患者の見方や医療提供者との関係が病気の管理に影響を及ぼしていることがわかった。今回調査の第2段階では、医師に対する調査と患者に対する調査の結果を比較した。
患者調査は、2014年9月4日から2016年1月13日まで実施され、15か国で関節リウマチと診断された成人(18歳以上)3,987人が参加。医師調査は、2015年8月14日から10月2日まで実施され、中等度から重度までの活動性関節リウマチ患者を前月に5人以上診察した18歳以上の関節リウマチ専門医(日本は整形外科医を含む)1,736人が参加した。
治療計画不可欠、でも認識していない患者も
今回の調査データから、関節リウマチの治療計画における複数の側面をめぐり、患者と医師の間にギャップがあることが明らかになった。特に驚く点は、医師に対するアンケート調査の新データから、3人に2人の医師は、臨床評価が疾患活動性を有していても、関節リウマチ患者が「うまくいっている」と感じていると述べていることが明らかになったことだとしている。
また、調査結果からは、患者とともに治療目標を設定し(78%)、治療計画を立てる(74%)ことが関節リウマチの適切な管理に不可欠だと医師の大部分が考えていることがわかった。しかし、同様の質問をした患者調査によると、治療目標を共有している医師は少数であり、治療計画を立てていることさえ認識していない例もあった。
リウマチ専門医であり、RA NarRAtiveアドバイザリーパネルの共同議長を務めるAlan Gibofsky博士は、医師はおそらく目標や治療計画について患者と話し合っていると思っているが、言い回しの違いや専門用語のせいで、患者はそれに気付いていない可能性があると指摘。ファイザー社は、このような患者と医師のコミュニケーションギャップを埋めるため、今回のアンケート調査から得た知識をツールやリソースに活かし、効果的なコミュニケーションを促していきたいとしている。
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・ファイザー株式会社 プレスリリース