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【第10回緩和医療薬学会年会】緩和医療薬学の持続発展へ-学会運営を抜本的見直し

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2016年05月27日 AM10:30


■製薬企業と新たな関係創出

第10回日本緩和医療薬学会年会が6月3~5の3日間、「JI-RI-TSU:緩和医療薬学の持続可能性を探る」をテーマに、浜松市のアクトシティ浜松で開かれる。10回目の節目となる今年会は、製薬企業等の支援を受けて開催する医療系学会のあり方を根本的に見直し、関係者と協力関係を構築する新たな学会の枠組みを提起した。テーマに沿って自らの参加費で学会を運営していく“自立”、医療専門職として国民への知識還元を目指す“自律”をキーワードに、緩和医療薬学の持続的な発展を目指す。塩川満年会長(聖隷浜松病院薬剤部長)は、「ホスピス発祥の地の浜松で、様々な職種の人たちが集い、仲間になれる新たなコンセプトの学会にしたい」と話している。

塩川氏

第10回年会は、これまで秋に開催していた年会を春の6月に移動し、前回から8カ月後に開催することになった。節目となる年会を開催するに当たって、塩川氏は「、大学関係者が連携して、新しい緩和医療薬学を広めていくために、年会を含め学会自体も変わっていかなければならない」との考えを述べる。

そのため運営を担当する年会プロデューサーとして、シップヘルスケアファーマシー東日本教育研修部長の川村和美氏に協力を依頼し、新しいコンセプトの年会を強く打ち出した。

川村氏は、多くの医療系学会が製薬企業からの多大な支援によって開催されていることに疑問を呈し、他者に負担を強いることの上に学会を継続することはできないとの考えから、医療系学会のあり方に一石を投じるようなプログラム編成に注力してきた。「製薬企業に頼らないのではなく、ウィン-ウィンの協力体制を築き上げる新しい体制を作れるかどうかがテーマ」と話す。

現在、MRによる医薬品の情報提供活動は、大学病院を中心に困難さを増しているが、「医薬品の情報は極めて重要であり、むしろ学会の場を医療関係者との接点にしてもらい、医療関係者だけではなく、製薬企業も学会を積極的な情報交換の場にしてほしい」と川村氏は話す。展示会場ではインフォメーションセッションと称する枠を設け、製薬企業や薬局などに広告や協賛という形ではなく、情報提供の場を購入してもらう新しい関係性を創出したい考えだ。

そのために、年会のテーマを「JI-RI-TSU:緩和医療薬学の持続可能性を探る」と設定。自らの参加費で学会を運営していく自立を宣言すると共に、参加者のために学術大会を開催し、その学びを国民に還元していく自律という考え方を打ち出した。国民への還元を考えた場合、学会を維持、発展させ続ける責任があるとして、新たな運営方法により緩和医療薬学を発展させていく必要性を訴えている。

こうしたコンセプトに基づき、プログラム編成ではランチョンセミナーを廃止し、ソーシャルランチを設定。参加者が自分で購入した昼食を持って展示イベントホールの屋上に集まり、「」「終末期」「栄養」「連携」のテーマごとの4会場で参加者と話をしながら語り合う場を設けた。川村氏は「一方的に講師の話を聞くのではなく、現場で頑張っている参加者同士の交流の場を作ってほしい」と狙いを話す。

もう一つ、参加者の相互交流の場と位置づけるのはディベートシンポジウムだ。「オピオイド鎮痛薬―オピオイドの使い分けに意味があるか」「鎮痛補助薬の選択と使い方―本当に効いているのか」「オピオイド鎮痛薬の特徴」「悪性消化管閉塞に対する薬物療法(オクトレオチド・)―投与すべきか?否か?」の四つのテーマについて、会場の参加者の考えや意見をリアルタイムに把握できるクリッカーを用いてシンポジストとの議論につなげたい考え。

シンポジウムは22題を設定。参加型の年会を意識して全て採用した。特別講演、教育講演、シンポジウムを含め、多くの演者を中部地区から招聘し、地域性も打ち出している。既にポケットプログラム集を全会員に配布済みで、これまで年会に参加したことがない会員が参加しやすいよう工夫も凝らした。

一般演題は、口演44題、ポスター242題の合計286題が発表され、参加者は当日参加を含め、過去最高規模の2700~2800人を見込む。今回の年会を、製薬企業に依存しない学会運営のスタートにしたいとしている。

塩川氏は、「どこでも同じ先生の話を学会で聞き、つまらなくて途中で帰ってしまったり、認定のシールをもらうために出席している人たちを見ていて、以前から疑問に思っていたので、今回は楽しい年会にしたいということがコンセプトにある。多くの人に浜松に来ていただき、学会に参加してほしい」と呼びかけている。

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