日本人の高コレステロール血症患者対象として
サノフィ株式会社は5月23日、日本人の高コレステロール血症患者を対象に実施したPCSK9(前駆タンパク質転換酵素サブチリシン/ケキシン9型)を標的とする完全ヒトモノクローナル抗体治験薬「アリロクマブ」の第3相試験ODYSSEY JAPANで、糖尿病患者においても、低比重リポタンパクコレステロール(LDLコレステロール)が一貫して低下し、高い忍容性が示されたことを発表した。試験結果は、第59回日本糖尿病学会年次学術集会にて報告された。
アリロクマブは、PCSK9を標的とし、LDLコレステロール値を低下させる可能性のある薬剤として、サノフィとRegeneron社が治験を実施している完全ヒトモノクローナル抗体。
ODYSSEY JAPAN試験は、日本人におけるアリロクマブの有効性と安全性について、プラセボを比較対照として52週間にわたり評価する第3相二重盲検試験。対象は、心血管イベントリスクを有する高コレステロール血症患者または遺伝性疾患である家族性高コレステロール血症ヘテロ接合体患者(heFH)で、一定用量のスタチン投与下でのLDLコレステロール値が日本動脈硬化学会の定める管理目標に達成していない日本人患者216例である。被験者は、一定用量のスタチンに加えて、アリロクマブ75mgまたはプラセボのいずれかを2週毎に投与されるようにランダムに割り当てられた。
HbA1cの臨床的に問題となる変動認められず
同試験では日本人患者216例のうち、ベースラインの既往歴に基づいて、糖尿病の既往を有する患者148例および糖尿病の既往がない患者68例に層別化し、PSCK9阻害剤アリロクマブの有効性と安全性を評価した。
その結果、24週時点では、糖尿病患者層におけるLDLコレステロール低下率は、アリロクマブ投与-63.1%及びプラセボ群2.4%、非糖尿病患者層でのLDLコレステロール低下率はアリロクマブ投与-60.8%及びプラセボ群0.6%で、アリロクマブのLDLコレステロール低下率には、糖尿病歴を問わず類似性が認められたという。また、糖尿病患者層及び非糖尿病患者層のいずれにおいても、アリロクマブの投与によるHbA1cの臨床的に問題となる変動は認められなかったとしている。
さらに、同剤はおおむね忍容性が高いことが確認された。主な有害事象は、鼻咽頭炎(アリロクマブ投与群26.6%対プラセボ投与群16.7%)、注射部位の反応(同10.5%対2.8%)、腰痛(同7.7%対2.8%)だった。有害事象の発現傾向は、糖尿病患者層、非糖尿病患者層ともに同様な傾向が見られた。
なお、同剤は「Praluent(R)」のブランド名で米国、EU諸国などにおいて承認を取得している。日本では現在承認申請中となっている。
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・サノフィ株式会社 プレスリリース