日薬連、PhRMA、EFPIAが中医協に提示した資料では、2年に1度の診療報酬改定では、「薬価本調査」と「医療経済実態調査」がワンセットで実施されているため、薬価改定のみを行えば、診療報酬体系とのバランスが損われる怖れがあると指摘。
消費税再引き上げに際して、薬価調査を実施し、その結果に基づき薬価を改定することは、2016年度改定、18年度に予定されている通常改定と合わせて3年連続で改定を実施することになるため、「容認できない」とした。
仮に何らかの価格調査が実施される場合でも、「その調査は、特例的なものと位置づけるのが妥当」と主張。さらに、「関係者の負担も考慮した必要最小限の調査とすることが不可欠」とした。
一方、消費税再引き上げが見送られた場合、価格調査・改定の実施理由は、「完全に消失する」との認識を示した。
薬卸連も、消費増税に伴って薬価調査を実施する場合になったとしても、「臨時・特例的な調査と位置づける」ことや、「できる限り簡易な調査とする」ことを要望。熊本地震によって医薬品卸も被災していることから、「調査対象については配慮が必要」とした。
■高額薬剤の薬価算定めぐり議論‐日医はルールの見直し求める
この日の総会では、中川俊男委員(日本医師会副会長)が、抗癌剤「オプジーボ点滴静注」などを例に挙げ、製薬業界など関係者に対して、医療保険制度の維持という点も踏まえつつ、高額薬剤の薬価算定ルールのあり方について考えをただした。
日薬連の野木森雅郁会長(アステラス製薬会長)は、「大きな課題と認識している」とした上で、新薬の開発を進めるためにも「イノベーションの評価は適切に行ってもらいたい」と主張。その上で、効果が見込める患者に適切に使用してもらう必要性を強調し、「業界としてそのための努力はする」とした。
安部好弘委員(日本薬剤師会常務理事)は、製薬企業の「イノベーションに対するインセンティブを削がないというのも大事」と指摘。国民皆保険制度下では高額な薬剤であっても「幅広くアクセスできる」という現状を踏まえ、「バランスよく」議論する必要性を強調した。
中川委員は、高額な薬剤の適応拡大が薬事承認され、より多くの患者に使用されることになった場合、「医療保険制度がもたない」と指摘。市場規模や患者数などを勘案した薬価算定ルールの見直しを求めた。
厚生労働省保険局医療課の中井清人薬剤管理官は、必要な患者に医薬品を届けると共に、治療効果が見込まれる患者に「最適に提供していく」ことも含め、「検討する時期にきている」との考えを示した。