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国内初吸入型の肺動脈性肺高血圧症治療薬「ベンテイビス吸入液」を発売-バイエル

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2016年05月19日 AM06:00

深刻な心肺疾患である肺動脈性肺高血圧症の治療薬として

バイエル薬品株式会社は5月16日、)の治療薬「(R)吸入液 10μg」(一般名:)の発売を開始したと発表した。同剤は、日本で初めての吸入型の肺血管拡張剤で、「医療上の必要性の高い未承認薬・適応外薬検討会議」での継続的な協議を経て、2010年には厚生労働省から正式に開発要請を受け開発されていた。


画像はリリースより

肺高血圧症(PH)は、進行性で生命を脅かす深刻な心肺疾患。肺動脈圧が正常値よりも高くなり、心不全や死に至る可能性が疾患で、一般的な症状は息切れ、疲労、めまい、失神など。PHには5種類あり、そのうちの肺動脈性肺高血圧症(PAH)は、血管収縮によって肺動脈圧が大きく上昇し、心不全や死に至る可能性がある進行性の疾患だ。PAHは希少な疾患であり、その患者数は100万人あたり15~52人。日本においては特定疾患治療研究事業の対象疾患に指定されている。患者の死亡率は、診断から1年で15%、3年で32%と高い。

PAHの原因は明らかではなく、この10年にわたってすでにいくつかの治療方法が提供されているにもかかわらず、PAH患者の予後は依然として不良であり、新しい治療の選択肢が待ち望まれていた。

アデムパス錠に続く、PAH治療の新たな選択肢として期待

ベンテイビスは、バイエルヘルスケア社が開発した合成プロスタサイクリン誘導体。肺血管を拡張し、より多くの血液が肺動脈を流れるようにすることで、肺動脈圧を低下させ、全身への酸素供給を改善し、心臓への負担を減少させる。携帯型ネブライザ(吸入器)を用いることで、エアロゾル化した薬剤を直接、肺血管に到達させることができるとされ、ネブライザが携帯型であることから、患者自ら吸入することができるという。2003年の発売以来、世界各国で広く使用され、長期の安全性と有効性が確認されているという。

日本におけるPAH治療薬としての同剤の承認は、PAH患者を対象として国内で実施した、多施設共同、非無作為化、非盲検、非対照、第3相試験であるIBUKI試験の主要投与期(12週間)及び長期投与(52週間)のデータの結果に基づくもの。同試験では、PAH特異的治療薬に未治療、もしくはエンドセリン受容体拮抗薬(ERA)またはホスホジエステラーゼ5(PDE5)阻害薬のいずれか1剤あるいはERAとPDE5阻害薬の2剤併用で既に治療されている PAH患者を対象とし、同剤の有効性、安全性及び薬物動態を評価した。

その結果、有効性主要評価項目である12週における肺血管抵抗(PVR)が改善し、有効性の副次評価項目である6分間歩行距離についても全般的に改善傾向が認められたという。また、安全性についても、PAH患者において同剤は安全で、忍容性も良好であることが示された。

バイエル薬品は、2014年4月より慢性血栓塞栓性肺高血圧症(CTEPH)の治療薬として「(R)錠」(一般名:)を販売し、2015 年2月には同剤においてPAHに対する効能追加承認を取得している。今回の承認により、肺高血圧症に対する幅広い治療の選択肢を提供することで、患者のさらなるQOL向上に貢献していきたい、と同社は述べている。

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