■安部日薬常務が見通し
日本薬剤師会の安部好弘常務理事は15日、札幌市内で開かれた北海道薬学大会で講演し、かかりつけ薬剤師指導料(70点)、かかりつけ薬剤師包括管理料(270点)の施設基準の一つになっている「医療に係る地域活動の取り組みへの参画」について言及。地方厚生局によって判断にバラツキがあることから、「少し混乱している」との現状を示し、厚生労働省が近く発出する診療報酬改定疑義解釈第3弾で具体的にどのような取り組みが該当するか「明確化するだろう」との見通しを語った。
かかりつけ指導料を算定するための施設基準として、▽3年以上の薬局勤務経験▽週32時間以上勤務▽同じ薬局に6カ月以上在籍▽薬剤師認定制度認証機構(CPC)が認証している研修認定取得――などが設定されているが、「地域活動の参画」をめぐっては、同じ活動内容でも、地方厚生局によって算定にバラツキが生じているとされている。
安部氏も「それぞれが思い描いている活動が、地方厚生局などで地域活動に当たらないのではという評価を受けている」と指摘。具体的な活動内容については、「主観が入ってしまう部分が多く、少し混乱しているようだ」とし、近いうちに「地域の中で真面目に業務に取り組んでいて、地域の活動に参加しているようなケース」については、厚労省が近く発出する予定の疑義解釈第3弾で「認めてもらえるよう、(厚労省に)相談している」とした。
安部氏は講演終了後、地域活動の一例として、毎年10月に実施している「薬と健康の週間」などの全国統一事業への参画を挙げた。ただ、同事業では、単にポスターを貼っているだけのケースも見受けられ、それだけで地域での活動に参画していると言えるのかという疑問は残る。疑義解釈第3弾では、こうした事業への関わり方なども明確化されるものと見られる。
一方、かかりつけ指導料の同意取得をめぐり、一部の薬局で自己負担のない生活保護受給者などから取得する動きがあることについても言及。「1カ月、2カ月は点数が取れるかもしれないが、これをやったら確実に信頼を失う。ばれなければいいと思っているのであれば、保険薬局の業界からは退場してもらいたい」と」と述べた。
かかりつけ指導料は、複数の医療機関を受診し、服薬情報の一元管理が必要な高齢者など、「本当にかかりつけ薬剤師を必要とする患者」に対して、「十分に説明して納得してもらった上で」の算定が望ましいと強調。その上で、「薬局の業務は1年、2年で収益を上げてやめていくものではない。10年後、20年後も地域の人たちから信頼されるような取り組みをしてもらいたい」と要望した。