全例の特定使用成績調査の結果を受けて改訂
日本糖尿病学会の「SGLT2阻害薬の適正使用に関する委員会」は5月12日、「SGLT2阻害薬の適正使用に関するRecommendation」の改訂版を公表した。このRecommendationは2014年6月13日に策定され、改訂版の公表は2014年8月29日に次いで2回目。阻害薬が発売されてから1年半を超える期間に報告された副作用情報や高齢者の特定使用成績調査の結果を踏まえ、その使用にあたっての重要な注意点を改訂したという。
今回、改訂されたRecommendationは以下の通り。
- インスリンやSU薬等インスリン分泌促進薬と併用する場合には、低血糖に十分留意して、それらの用量を減じる。患者にも低血糖に関する教育を十分行うこと。
- 75歳以上の高齢者あるいは65歳から74歳で老年症候群(サルコペニア、認知機能低下、ADL低下など)のある場合には慎重に投与する。
- 脱水防止について患者への説明も含めて十分に対策を講じること。利尿薬の併用の場合には特に脱水に注意する。
- 発熱・下痢・嘔吐などがあるときないしは食思不振で食事が十分摂れないような場合(シックデイ)には必ず休薬する。
- 全身倦怠・悪心嘔吐・体重減少などを伴う場合には、血糖値が正常に近くてもケトアシドーシスの可能性があるので、血中ケトン体を確認すること。
- 本剤投与後、薬疹を疑わせる紅斑などの皮膚症状が認められた場合には速やかに投与を中止し、皮膚科にコンサルテーションすること。また、必ず副作用報告を行うこと。
- 尿路感染・性器感染については、適宜問診・検査を行って、発見に努めること。問診では質問紙の活用も推奨される。発見時には、泌尿器科、婦人科にコンサルテーションすること。
(日本糖尿病学会「SGLT2阻害薬の適正使用に関するRecommendation」から引用)
「メトホルミンの適正使用に関するRecommendation」も同日改訂
なお、日本糖尿病学会は同日、「メトホルミンの適正使用に関するRecommendation」(旧: ビグアナイド薬の適正使用に関する Recommendation)も改訂版を公表。2016年4月8日にFDAからDrug Safety Communicationが出されたことを受け、従来のクレアチニンによる腎機能評価から推定糸球体濾過量eGFRによる評価へと変更することを主とした改訂を行っている。