トリフルリジンとチピラシル塩酸塩配合の経口ヌクレオシド系抗悪性腫瘍剤
大鵬薬品工業株式会社は4月28日、新規の経口ヌクレオシド系抗悪性腫瘍剤「LONSURF(R)」(一般名:トリフルリジン・チピラシル塩酸塩、日本での製品名「ロンサーフ(R)配合錠T15・T20」)について、提携先の仏セルヴィエ社が欧州委員会(EC)より、承認を取得したと発表した。
適応症は、フルオロピリミジン療法、オキサリプラチン療法、イリノテカン療法や抗VEGF抗体療法、および抗EGFR抗体療法を含む既存治療の施行後、またはこれらの治療法が適応とならない、遠隔転移を有する成人の結腸・直腸がん。
同剤は、トリフルリジン(FTD)とチピラシル塩酸塩(TPI)を配合することにより薬剤の効果を維持できるよう設計した経口のヌクレオシド系抗悪性腫瘍剤で、フルオロピリミジンとは異なる作用機序を有する。FTDはDNAの複製時にチミジンの代わりにDNA鎖に取り込まれ、DNAの機能障害を引き起こして抗腫瘍効果を発揮すると推測されている。TPI はFTDの分解に関与するチミジンホスホリラーゼ(TP)を阻害し、FTDの血中濃度を維持するという。
日本を含む13か国で実施された国際共同第3相臨床試験の結果に基づき
LONSURFは、2016年2月の欧州医薬品庁(EMA)の医薬品委員会(CHMP)による承認勧告を受け、今回のECによる承認となった。いずれの決定も、国際共同第3相臨床試験「RECOURSE試験」の結果に基づいているという。
RECOURSE試験は、標準化学療法に不応・不耐となった治癒切除不能な進行・再発の結腸・直腸がん患者800名(うち403名が欧州の患者)を対象に、日本を含む13か国で実施された。同試験において、同剤投与群はプラセボ投与群に比較して、主要評価項目である全生存期間(OS)を有意に延長したという。
また、最終解析結果では、同剤投与群で死亡リスクを31%低下し、全生存期間の中央値を2か月延長。全生存期間の中央値は同剤投与群で7.2か月、プラセボ投与群で5.2か月であり、1年生存率はそれぞれ27.1%と16.6%だったという。
なお、同剤は大鵬薬品が創製・開発し、ライセンス契約のもと、セルヴィエ社にEU諸国での開発・販売権を許諾している。セルヴィエ社は、フランスに本社を置く研究開発型の非上場製薬会社。世界148か国で事業を展開しており、同社の医薬品の92%がフランス国外で処方されているという。この契約に基づき、セルヴィエ社は欧州・その他地域(北米・日本/アジアを除く)において、同剤の開発と商業化を推進。大鵬薬品は同剤を製造・供給し、北米・日本/アジアで同剤の開発と商業化を進めている。
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