日本薬剤師会の山本信夫会長は4月28日の定例会見で、同月14日に発生した熊本地震への対応状況について説明。日本医師会災害医療チーム(JMAT)に帯同する形で避難所などの「必要なところ」に薬剤師が適切に配置されていることや、現地に入った担当常務が日薬との連絡の窓口となり、「情報の混乱がなかった」との見解を示した。
会見で山本氏は、地震の被災者や被災した会員にお見舞いの言葉を述べると共に、全国の薬剤師会から支援薬剤師派遣の応募があったことに謝意を表明した。震災への対応については、熊本県医師会と熊本県薬剤師会の調整がうまくいったため、JMATに帯同する形で「必要なところに必要な」薬剤師が配置されていることを説明。
地震発生直後に、災害対策担当役員の田尻泰典常務理事が現地入りし、その後も、永田泰造常務理事や大原整理事など、被災地での支援活動経験がある役員を派遣するなどし、「現地の薬剤師会の動きをサポートしながら日薬との窓口を一本化でき、情報の混乱がなかった」とした。
山本氏は、役員や会員の中には2011年3月に発生した東日本大震災の経験者が「たくさんいる」とし、「今回、比較的早い時期に支援体制が組めたのは、その時の経験が生きていたため」と振り返った。
石井甲一副会長は、現地と日薬の対策本部が連携できている要因として、地震発生直後も電話やFAX、メールでのやりとりができていることを挙げ、「休日返上で情報共有できており、不安にならずに活動できている」と説明した。
この日の会見には、熊本で支援活動を行った大原氏も出席。大分、広島、和歌山の3県薬剤師会が熊本県へ出動させた災害支援車「モバイルファーマシー」が現場で大きな役割を果たしていることを報告した。
■支援薬剤師派遣、今月末まで延長
また日薬は、これまで「10日まで」としていた熊本地震被災地への支援薬剤師の派遣期間を今月31日まで延長することを決めた。
日薬は、被災地では未だに避難所生活を余儀なくされている人が多数いることや、地元で被災した薬剤師も救護活動を続けていることから、薬剤師の派遣期間を延長することとした。派遣期間は11日から31日まで。必要人数は引き続き「1日につき15人程度」を想定しているが、避難所の状況等により、変更になる可能性がある。
都道府県薬は、派遣可能な薬剤師の名簿(氏名、年齢、性別、携帯番号、出動可能な期間)を専用の用紙に記入し、メールアドレス:saigai-haken@nichiyaku.or.jpに送付する。派遣先は、▽益城町総合体育館▽益城町保健福祉センター▽阿蘇熊本空港ホテルエミナース▽嘉島町役場▽南阿蘇白水庁舎▽その他の避難所・救護所等――の6カ所で、これまでと変更はない。
支援薬剤師の集合場所となる熊本県薬剤師会までの交通手段については、福岡県薬剤師会に集まってからレンタカーで移動する方法だけでなく、新幹線や飛行機が運行を再開したことを踏まえ、直接、県薬会館に集合する方法も挙げている。
宿泊については、基本的には車中またはテント(毛布、寝袋、テント等は各自用意)が基本となるが、派遣場所によっては熊本県薬会館内に宿泊できる場合もあるという。