岐阜県大垣地域、大阪府茨木地域でネットワーク構築を開始
株式会社日本エンブレースとMSドリーム株式会社は4月27日、認知症を含む複数の慢性疾患を有する地域住民の支援のための地域包括ケアネットワークを構築するためのICT支援システム(認知症ケアネットワークシステム)が、岐阜県大垣市医師会と大阪府茨木市医師会で採用されたと発表した。大垣病院(大垣市)と藍野病院(茨木市)の支援のもと、ネットワーク構築がスタートしているという。
画像提供:日本エンブレース社
このICT支援システムは、名古屋大学大学院医学系研究科 医療行政学客員研究員で国立精神・神経医療研究センター精神保健研究所客員研究員の杉浦伸一氏が、患者ケアに関する共同プロジェクトの一環で開発を進めていたものを、認知症で初めて着手するもの。地域でのルールに基づいて情報共有ができるシステムを用いた認知症ネットワークのICTでの構築は、全国初としている。
同システムは、地域にお住まいの認知症の患者をサポートする医療者や介護職、ご家族など関係者をつなぎ、コミュニケーションと情報共有を円滑にすることを目指している。認知症支援に必要な情報を中心として、患者ご本人に関するさまざまな情報を共有。地域包括ケアを円滑に行ない、地域で患者を支えていくことが可能になるという。
医療介護専用SNS「メディカルケアステーション」を活用
会見に臨む日本エンブレースの伊東社長(左)ら
同日、都内で開かれた会見には、日本エンブレース代表取締役社長兼CEOの伊東学氏、MSドリーム代表取締役の浅野美香氏、開発者の杉浦伸一教授らが参加した。杉浦教授は「認知症や精神疾患を有する患者の多くは、複数の診療科を受診していることが一般的。そのような状況では情報共有が非常に大切になる」と語った。
認知症ケアネットワークシステムでは、医療コミュニケーションを支えるしくみとして、日本エンブレースの医療介護専用SNS「メディカルケアステーション」(MCS)を活用。MCSは、すでに全国120医師会で採用されている地域包括ケアプラットフォームであり、今回MSドリームの開発した情報システム基盤と融合することで、認知症に最適化したICT基盤を実現したという。大垣市医師会と大垣病院、茨木市医師会と藍野病院は、これらのICTシステムを地域特性に合わせて組み合わせ、導入を推進する。
「電子化すべき情報と紙で運用される情報を上手に連携させることが一番安価で現実的。地域で利用されている患者手帳は、地域によって記載されている情報が異なるが、そのエッセンスの部分を共有し合おうというのが今回のシステム。地域の特性に応じて運用される」(杉浦教授)
今後は、この認知症ケアネットワークシステムを通じて、2017年末には100地域(住民規模で約500万人)で、医療介護関係者10万人が参加することを目指すとしている。
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・株式会社日本エンブレース ニュースリリース