宮城県の地域住民コホート参加者1,070人のデータの制限付公開を開始
東北大学は4月25日、同大東北メディカル・メガバンク機構が東北メディカル・メガバンク統合データベース「dbTMM」を開発し、登録される予定のデータのうち、2013年度のコホート調査参加者1,070人由来の血液・尿の検体検査情報及び調査票(生活習慣)の回答情報、全ゲノム配列情報を試料・情報分譲申請審査に基づいて制限付公開したと発表した。
画像はリリースより
dbTMMは、大規模ゲノムコホート調査由来の健康調査および、全ゲノム配列情報を含む生体試料の解析情報(基本属性情報、調査票情報、生理学検査情報、検体検査情報、ゲノム・オミックス情報、診療情報、MRI画像情報等)を世界で初めて統合するもの。
東北大と岩手医科大では2012年から東日本大震災の被害からの復興事業として東北メディカル・メガバンク計画に取り組み、東北大学は東北メディカル・メガバンク機構(ToMMo)を、岩手医科大学はいわて東北メディカル・メガバンク機構(IMM)を設立。両機構は、宮城・岩手両県の住民15万人を対象にコホート調査を進めており、2016年4月現在で、13万人を超える協力を得ている。
格納する対象者と種類を拡大、15万人分のデータベースを公開予定
今回開発された統合データベース「dbTMM」は、収集したすべての情報がひとつのデータベースに統合されていることで、あらゆるゲノム情報や健康調査情報や診療情報等に基づく表現型情報の属性でコホートを精確に層別化。精度の高いゲノム医療実現のための解析研究を実施することが可能になった。
統合データベースは大規模な全ゲノム解析に基づく2100万の一塩基多様体の情報というビッグデータを格納するものであり、その能力を有効に活かせるよう高速な検索機能を開発。また、基本属性情報、調査票情報、全ゲノム情報など多岐にわたった項目に対して、すべての個別の項目で任意の検索を可能とする検索機能を開発した。
ゲノムの一塩基多様体情報などの網羅的な解析情報と、調査票に基づく生活習慣、採血に基づく一般検査や医用画像などに由来する従来の健康情報の、両方にわたる検索条件を指定でき、例えば、特定の染色体の特定の位置で特定の配列をもつ人において、ある生理学検査項目が特定の値以上の人が何人いるか、というような検索も可能になるという。
今後は格納する対象者と種類の拡大を進め、最終的には15万人分のデータベースを完成させて制限付公開する予定。また、このコホートを層別化して活用するにあたり、体質(ゲノム・オミックス情報)、体調(検体検査情報、生理 検査情報)、環境要因(調査票情報)などを統合したフェノタイピングを実施し、フェノタイプ情報を提供する予定としている。これにより、より精度の高いゲノム医療実現の研究促進が期待できるとしている。
なお、統合データベースの利用は、試料・情報分譲申請の利用者登録を行った後、統合データベースの利用申請が必要となる。
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