■6項目を包括同意、今月開始
東京都西部の青梅市立総合病院は、事前に取り決めた6項目について院外処方箋の調剤時に疑義照会を不要とする合意書を地元の青梅市薬剤師会と交わし、今月から運用を開始した。2014年4月の院外処方への全面移行を契機に、処方箋に「剤形・規格変更可」欄を設ける運用を開始していたが、疑義照会が減らなかったことから、発行処方箋の8割を応需している地元の青梅市薬剤師会と協議し、プロトコールに基づく薬物治療管理(PBPM)の一環として合意書を締結した。
疑義照会を不要としたのは、▽成分名が同一の銘柄変更(変更不可の処方は除く)▽剤形の変更▽別規格製剤がある場合の処方規格の変更▽無料で行う半錠、粉砕あるいは混合▽無料で行う一包化▽貼付剤や軟膏類の取り決め範囲内での包装・規格変更――の6項目。これらについて、包括的に医師の同意が得られたとして、処方医への同意確認を不要とした。医師の負担軽減、薬局での患者の待ち時間短縮が大きな目的だ。
青梅市立総合病院は、2年前の院外処方への全面移行を契機に、既に疑義照会を減らす取り組みとして処方箋に「剤形・規格変更可」欄を設ける運用を行っていたが、疑義照会の件数が大きく減ることはなく、医師の診療に影響を与える状況が続いていた。
そこで、愛知県の半田市立半田病院の取り組みをもとに、青梅市薬剤師会と協議した結果、「包括的に薬剤師法第23条第2項に規定する医師の同意がなされたとして、六つの事項について処方医への同意確認を不要とする」と定めた合意書を交わすことになった。
青梅市立総合病院の1カ月の院外処方箋発行枚数は1万2000~3000枚。その8割を占める1万枚程度を青梅市薬剤師会の会員47薬局で応需している。
今回、この47薬局と合意書を締結し、今月1日から運用を開始した。薬局で疑義照会の手間を省いた項目については、事後にFAXで変更内容の報告を求める形にしている。
田中三広薬剤部長は、「疑義照会不要の項目については、門前薬局と口頭合意で範囲を決めている事例もあるが、しっかりプロトコールに基づいた合意書を締結することが必要だ。多少のグレーゾーンは出てきてしまうが、そこは一つひとつ問い合わせに対応していきたい」と話している。
青梅市での合意は、伝統的な地域連携の強さも後押しした。田中氏は現在、西多摩薬剤師会と青梅市薬剤師会の副会長を兼務しており、地域の薬剤師活動にも明るい。これは前任の薬剤部長時代から受け継がれてきたもので、田中氏は「病院と薬剤師会がお互いに信用し、連携が取れていることが青梅市の大きな特徴」と話す。
その上で、PBPMの一環として合意事項を明文化することの重要性を強調。「確実にPBPMを実践するためには、合意書の締結は必須だろう。厚生労働省の医政局長通知は、薬局薬剤師にも当てはまると思うので、クリニックと門前薬局の間で疑義照会不要の項目を決めるのであれば、プロトコールに基づいた取り組みにすべきだし、薬剤師会も通知に基づく活動を広めていってほしい」と話している。
今後、さらにグレーゾーンを明確化し、一つひとつの項目についてプロトコールに基づき明文化していきたい考えだ。