直接内視鏡ではアクセスできない膵臓などの組織・細胞を吸引採取
オリンパス株式会社は4月18日、ディスポーザブル吸引生検針「EZ Shot 3 Plus」(イージーショットスリープラス)を4月21日から国内で販売開始すると発表した。
画像はリリースより
同製品は超音波内視鏡を用いて行われる「超音波内視鏡下穿刺吸引術」(EUS-FNA)に使われる処置具。システム本体の「EU-ME2シリーズ」「GF-UCT260」と組み合わせて使用する。なお、製造販売元はオリンパスメディカルシステムズ株式会社となる。
EUS-FNAとは、超音波内視鏡を用いて行う検査の方法で、治療方針を決める重要な手技。口から超音波内視鏡を挿入し、超音波で粘膜下の状況を確認しながら、直接内視鏡ではアクセスできない膵臓、粘膜下腫瘍、リンパ節などに、消化管壁を介して針を刺し、組織・細胞を吸引採取する。採取された組織は、顕微鏡などで良性か悪性かの病理診断を行う。
素材や形状の工夫により刺さりやすさを向上
今回発売するEZ Shot 3 Plusは、超音波内視鏡の先端が大きく湾曲した状態でも、挿入しやすい設計を目指したという。コイルシースの採用により、内視鏡を大きく湾曲させても抵抗の少ない挿入をサポート。穿刺用の針管には形状保持力と柔軟性の高いナイチノールを採用し、急峻な角度でもスムーズな針の出し入れをサポートする。また、ナイチノールは弾性が高いため、優れた形状保持力を発揮。内視鏡の湾曲部を通過しても針が変形しにくく、耐久性を備えているという。
また、鋭利に加工された針先(メンギーニ形状)を採用。より組織へ刺さりやすい針先の設計で、硬い組織でもスムーズに穿刺することを追求したという。針先は、サイドホールあり・なし両方のラインアップを揃えている。さらに、手元の操作部は、すべりにくく使いやすいハンドル形状を採用。針の先端の表面の加工も改良し、超音波下の観察での針の見えやすさを追求しているという。
EUS-FNAは、1990年初頭から欧米を中心に行われるようになり、国内では2010年の保険収載を期に広く普及している。EUS-FNAでより正確な診断を行うためには、狙った部位に穿刺できることが求められる。しかし、膵臓がんがよく発生すると言われる膵頭部などへはアプローチが難しく、内視鏡の先端を大きく湾曲させて行う場合がある。湾曲状態の内視鏡の中でも少ない力で滑らかに動かせ、狙った位置へ滑らず穿刺できる必要がある。今回開発された同製品は、それらのニーズに応えるために開発されたもの、と同社は述べている。
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