14日午後9時26分頃に熊本県熊本地方を震源とするマグニチュード6.5の地震(熊本地震)があり、熊本県益城町で震度7の激しい揺れを観測した。その後も震度6クラスの地震が発生しており、熊本市の市街地でも店舗の壁や看板が落下するなど被害をもたらしている。15日段階で判明している県薬剤師会の動きや医薬品関連企業などの状況をまとめた。
熊本県薬剤師会は15日午前8時半に廣田誠介会長を本部長とする災害対策本部を設置。県下会員の被害状況の情報収集に努めている。一部地域では停電により、開局できていない薬局もあるという。
また、同会は同日午前10時50分に県の要請を受け、災害薬事コーディネーターを県対策本部に配置。また、震源地で家屋が倒壊するなどの被害が発生している益城町へ、災害医療支援薬剤師4人を派遣。14カ所ある避難場所で、避難者に対応し、不足する医薬品の把握等に努めている。
県薬務衛生課でも県下の薬局、店舗販売業、卸売業者、医薬品製造施設などの被害状況を把握するため情報収集に努めている。
厚生労働省も災害対策本部を設置し、対応を図っている。日本薬剤師会に対しては、現地の薬剤師会との緊密な連携と、必要に応じた活動支援や医薬品供給等を要請。医薬・生活衛生局総務課は、被災地で必要な薬剤師を確保するため、熊本県からの具体的な薬剤師の派遣要請があった場合には、日薬に「薬剤師の派遣を依頼する」とし、協力を求めた。
医政局経済課は、日本製薬団体連合会や日本医薬品卸売業連合会、日本医療機器産業連合会などに対して、医療機関等に対する医薬品、医療機器等の供給に支障を来したり、適正な流通を阻害することがないよう、「万全の策を講じる」ことを求めた。
日薬は同日、山本信夫会長を本部長として災害対策本部を設置、熊本県薬と連絡を取り合うと共に、現地に役員を派遣し情報収集に努めている。また、薬剤師を派遣しJMATと共に医療支援活動を行う。
医薬品製造関連では、熊本市北区の化血研は「製造施設への影響を調査中」(同社)。また熊本県上益城郡益城町にある再春館製薬所は、「建物への大きな損害はないが、製造・配送ラインの被害を確認中」としている。
医薬品卸関係では、熊本市南区のアルフレッサヘルスケア九州物流センターは、地震の影響で一部商品の落下が発生しているが、「一両日中をメドに復旧作業を行っている」(アルフレッサホールディングス広報IR室)
メディパルホールディングスは、地震発生後、即座に子会社アトルに災害対策本部を立ち上げたほか、県の災害拠点に指定されている熊本病院から問い合わせがあり、アトル熊本病院支店が対応している。東邦ホールディングスは、現時点で、近郊エリアでの被害報告は受けていないとすると共に、営業拠点では、近隣拠点からの支援や臨時便の手配など、緊急の出荷に備えている。
スズケンは、子会社「翔薬」の熊本支店、八代支店で商品の落下があったが、他の拠点からの支援により、安定供給に最大限努めている。三和化学の熊本工場では、建物の被害はないが、現在製造設備の点検を行っている。
小売店関係では、九州全域で店舗展開するドラッグイレブンは15日午前9時現在、熊本県下で展開する12店舗中10店舗での開店を見合わせており、関係店舗の被害状況などの情報収集に努めている。
日本保険薬局協会(NPhA)は、15日に中村勝会長を室長とする「熊本地震災害対策室」を設置した。薬剤師数人を現地に派遣し、会員の被害状況の把握、支援・救援活動に努めている。また、避難した住民への救援活動にも全面的に取り組んでいく。