認知症と気づかれにくいレビー小体型認知症
エーザイ株式会社は4月14日、フィリピンの販売子会社であるHI-Eisai Pharmaceutical, Inc.が、アルツハイマー型認知症治療剤「アリセプト(R)」(一般名:ドネペジル塩酸塩)について、フィリピンにおいて、新たにレビー小体型認知症に対する適応拡大の承認を取得し、情報伝達活動を開始したと発表した。
日本で発見された疾患であるレビー小体型認知症は、病理学的には大脳と脳幹における神経細胞脱落と多数のレビー小体の出現を特徴とする変性性認知症。神経化学的には、アルツハイマー型認知症(AD)と同様に脳内コリン作動性神経障害を特徴としている。中心的特徴(必須症状)である進行性の認知機能障害に加えて、精神症状・行動障害、運動障害、自律神経障害が発現し、認知機能の変動、幻視、特発性パーキンソニズムが中核的特徴とされている。
日本においては、アルツハイマー型認知症、血管性認知症と並んで3大認知症と位置づけられ、有病率は認知症高齢者の4.3%(疫学)~ 41.4%(剖検)にわたり、複数の報告がある。フィリピンではレビー小体型認知症に関する確実な疫学情報はないが、認知症患者数については、約40万人との報告があるという。
日本に続き、世界で2番目のレビー小体型認知症の承認
アリセプトは、フィリピンにおいて1999年3月にアルツハイマー型認知症の適応で発売。これまでに血管性認知症への適応拡大や、口腔内崩壊錠の発売を行っていた。今回のレビー小体型認知症については、日本での臨床試験データを基に、2015年11月に承認申請を行ない、2016年2月に承認を取得した。
今回のフィリピンにおけるレビー小体型認知症適応の承認は、2014年9月の日本に続き、世界で2番目の承認となる。なお、同様の適応追加については、現在、タイでも申請中としている。
同社は、今回のレビー小体型認知症の承認を機に、認知症疾患の診断・治療・ケアに対する情報提供活動をより一層強化し、フィリピンにおけるレビー小体型認知症を含む認知症患者のQOL向上への貢献を果たしていきたいとしている。
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・エーザイ株式会社 ニュースリリース