製薬業界は、「革新的医薬品の創出に向けて」と題した資料の中で、16年度薬価制度改革により、社会保障関係費の伸び(6700億円)を5000億円に抑制するための財源のほとんどを「負担した」と訴えた。
その上で、新たに導入された「特例拡大再算定」について、「次期改革時に撤廃を」と要望。「新薬創出・適応外薬解消等促進加算」の制度継続を求める一方で、来年4月に予定されている消費税引き上げ時の薬価調査に基づく改定や、薬価の毎年改定には反対した。
また、「社会保障関係費の伸びを薬価制度改革による財源捻出で手当てすることはもはや限界」と主張。会議終了後に会見した厚生労働省医政局経済課の大西友弘経済課長によると、製薬業界は、政府と一体となって社会保障費全体のあり方を議論する場の必要性を訴えたという。
会議であいさつした塩崎恭久厚労相は、「厚労省は規制官庁であり、産業を育成する官庁ではないと感じていたが、皆さんが活躍しやすい環境作りをしようという気持ちでこの1年半、やらせていただいた」と強調。医薬品・医療機器は「健康だけでなく、経済にもプラスになる産業だと考えている。対話を重ねながら、何をなすべきか話を聞かせてほしい」とした。
これに対し、医療機器分野も含めた産業界は、官民対話の開催頻度が年に1~2回と少なく、出席者の発言時間も短いことから、「もう少し対話の機会を増やしてほしい」と要望。テーマを医薬品、医療機器、再生医療などに分けて開催することも含め、これまで以上に産官学が「顔を合わせる機会」を増やすよう求めた。大西経済課長によると、そうした協議の場を増やす方向性については、政府側も「検討する」と応じたという。
会合には、政府側から島尻安伊子内閣府特命担当相、厚労省の副大臣と政務官、内閣府、文科省の副大臣、経産省の政務官が出席。製薬業界からは日本製薬団体連合会の野木森雅郁会長、日本製薬工業協会の多田正世会長、米国研究製薬工業協会(PhRMA)在日執行委員会のパトリック・ジョンソン委員長、欧州製薬団体連合会(EFPIAジャパン)のカーステン・ブルン会長が参加した。
機器業界からは、日本医療機器産業連合会の中尾浩治会長、米国医療機器・IVD工業会の加藤幸輔会長が出席した。