既存治療でコントロール不良のアトピー性皮膚炎患者を対象に
仏サノフィ社と米Regeneron社は4月1日、既存治療でコントロール不良の中等症および重症アトピー性皮膚炎患者を対象とした「dupilumab」の2本の第3相試験における肯定的な主要結果を発表した。
慢性の炎症性疾患であるアトピー性皮膚炎は現在、全世界の成人の1~3%が罹患しているといわれている。米国では700~800万人の成人患者のうち、約160万人が中等症および重症と診断され、治療を受けながらも、コントロール不良な状態にあるとされている。
dupilumabは、免疫療法におけるファーストインクラスの薬剤。2014年11月、米国食品医薬品局(FDA)からアトピー性皮膚炎に関して画期的治療薬(Breakthrough Therapy)の指定を受けている。
主要評価項目を達成、疾患の重症度などを有意に改善
同剤を評価する2本の第3相プラセボ対照試験「LIBERTY AD SOLO1試験」および「SOLO2試験」には、中等症および重症アトピー性皮膚炎の成人患者、合計1,379人が、局所外用療法で十分にコントロールできなかった場合、あるいは局所外用療法が医学的に推奨されない場合に登録された。
すべての患者は、治験責任医師による包括的評価(IGA)スケールで症状を0(なし)から4(重症)までの5段階で評価され、両試験への参加基準はIGAスケールのベースラインのスコアが3または4とされた。また、患者は湿疹面積・重症度指数(EASI)やその他の基準も用いて評価されたという。
16週目の時点の結果として、SOLO1試験およびSOLO2試験では、dupilumab 300mg毎週投与群においてそれぞれ37%と36%の患者が、またdupilumab 300mg隔週投与群においてそれぞれ38%と36%の患者が皮膚病変なし(IGA 0)またはほぼなし(IGA 1)を達成。プラセボ群では、それぞれ10%と8.5%だったという(p<0.0001)。これは、米国における試験の主要評価項目。
また両試験において、EASIスコアがベースラインから改善した割合は、300mg毎週投与群において、それぞれ72%と69%、300mg隔週投与群において、それぞれ72%と67%、プラセボ群においてそれぞれ38%と31%(p<0.0001)としている。
SOLO1試験およびSOLO2試験では、EASIスコアがベースラインから75%以上の改善を示すEASI-75達成率が、dupilumab 300mg毎週投与群において、それぞれ52.5%と48%、dupilumab 300mg隔週投与群において、それぞれ51%と44%だったが、プラセボ群においては、それぞれ15%と12%(p<0.0001)だったという。これは、米国における同2試験の副次的評価項目であり、EUでは主要評価項目の1つだったという。
これらの結果により、同社はdupilumab単剤療法によって、全般的な疾患の重症度、皮膚病変、瘙痒、生活の質、およびメンタルヘルスが有意に改善したとしている。なお、同剤の同第3相試験の1つであるSOLO1試験には、日本も参加している。
▼関連リンク
・サノフィ株式会社 プレスリリース