アジアの製薬業界団体12団体の代表者が一堂に会し、アジア諸国での新薬アクセス向上に向けた提言を行う「第5回アジア製薬団体連携会議」(APAC)が7~8日、都内で開催された。今回は規制・許認可における国際調和と、アジア地域発シーズから創薬につなげる連携体制に関して合意が得られた。日本製薬工業協会の多田正世会長(大日本住友製薬社長)は、8日に行った記者会見で、「グローバルヘルスという世界的な動きの中で、医薬品アクセスが国際的なテーマとなっている。アカデミアや政府と協力し、革新的医薬品をアジア各国で普及させていきたい」と語った。
今回、開催されたAPACでは、規制・許認可と創薬連携の二つのワーキンググループで進展があった。規制・許認可では、アジアにおける薬事規制の国際協調実現に向けて、製薬企業が医薬品申請データを提出する際の標準手順となる「医薬品の承認・登録のための管理原則」(GRM)を取りまとめ、2月にはアジア太平洋経済協力会議の薬事規制調和委員会で承認された。
これを受け、今年を第2期、2017~18年を第3期、19~20年を第4期とするGRMの達成目標を明確にしたロードマップを策定し、今年11月にはGRMの重要要素である「医薬品の承認申請などの実施基準」に関する研修を実施する。
会見に出席した製薬協国際委員会委員長の平手晴彦氏は、「規制・許認可に関しては、各国のルールに基づいて製薬企業が申請資料を提出しているが、これまで国際調和が進まず、医薬品アクセスの阻害要因になっていた」とし、「民間企業側で連携を図って申請データ形式を統一し、医薬品医療機器総合機構に対してもアジアの規制当局間で情報共有いただくようお願いをした」と報告。
その上で、「アジア各国の実情を理解し、どういう試験をやればいいかが見えてきた。規制・許認可については大きな坂を越えた」と語った。将来的にはアジアで実施した治験に関して、標準形式での申請データ統一化も視野に入れる。
創薬連携では、アジア地域内のアカデミアが生み出したシーズを発掘し創薬に結びつけるための官民の情報共有やネットワーキングを推進し、アジア発革新的新薬のアクセスを向上させる。活動に向けては研究シーズの発見のみならず、人材育成も重要な柱に据えた。
来年の第6回会議も東京で開催し、国際製薬団体連合会が主催する「アジア・レギュラトリー・カンファレンス」との合同開催となる見通し。