炎症性サイトカイン・ケモカインの活性を抑制するIgG4モノクロナール抗体
米イーライリリー・アンド・カンパニーは3月22日、米国食品医薬品局(FDA)が、全身療法または光線療法の適用となる成人の中等症から重症の尋常性乾癬患者の治療薬として「Taltz(R) 皮下注製剤 80mg/mL」(一般名:イキセキズマブ)を承認したと発表した。
皮膚に現れる慢性の自己免疫疾患である乾癬の明確な原因は分かっていないが、遺伝的および環境的要素がこの疾患の発症に関与していることが知られている。米国では約750万人の罹患者がおり、そのうち約20%が中等症から重症の尋常性乾癬とされている。
Taltzは、サイトカインであるインターロイキン17A(IL-17A)に特異的に結合し、IL-17受容体との相互作用を阻止するIgG4モノクロナール抗体。IL-17Aは自然発生するサイトカインで、通常の炎症性および免疫反応に関与する。同剤は、この炎症性サイトカインおよびケモカインの活性を抑制するという。
12週時の奏効した患者のうち、75%が60週時でも同様の奏効を維持
FDAによる今回の承認は、3つの大規模第3相臨床試験の結果に基づくもの。このUNCOVER-1、UNCOVER-2、UNCOVER-3試験は、第3相多施設共同二重盲検比較試験で、世界21か国の3,800人を超える中等症から重症の尋常性乾癬患者を評価している。全試験は、異なる投与用法量のイキセキズマブ(初期投与量160mgを投与後、2週間または4週間ごとに80mgを投与)の安全性および有効性を12週後にプラセボ群と比較して評価。UNCOVER-2およびUNCOVER-3試験は、エタネルセプト(50mgを週2回)を12週間にわたって投与した対照群も含んでいる。UNCOVER-1、UNCOVER-2では安全性および有効性の評価を60週まで続けたとしている。
その結果、3試験すべてにおいて、12週時にTaltz投与群の87~90%で尋常性乾癬の有意な改善(PASI 75)が認められた。さらに、Taltz投与群の81~83%がsPGA 0または1を達成。Taltz投与群の68~71%が、皮膚病変のほぼ消失(PASI 90)を達成し、35~42%が乾癬局面皮疹の完全消失(PASI 100、sPGA 0)を達成した。また、UNCOVER-1およびUNCOVER-2では、12週時でTaltzが奏効した患者(sPGA 0または1かつベースラインから少なくとも2ポイント改善)のうち、75%が60週の最終観測時でも同様の奏効を維持していたという。
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